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清宮の一軍定着を知らせる「球界の慣例」

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清宮幸太郎

 このまま、清宮を使い続ける…。栗山英樹監督(57)の教育方針が見えてきた。
5月15日が分岐点だった。同日の埼玉西武戦前、北海道日本ハムファイターズは故障で戦線を離脱していた近藤健介(24)を復帰登録した。同日の復帰は「予定通り」(関係者)とのことだが、その代わりに誰を降格させるのかが注目されていた。
「清宮(幸太郎=18)が調子を落としています。『もう一度、勉強してこい』と言って降格させるとしたら、このタイミングしかなかった」(プロ野球解説者)
 近藤の故障が清宮の一軍昇格の契機にもなっていた。その近藤が復帰しても、清宮を二軍に降格させなかったということは、栗山監督は一軍の試合のなかで育てていくと決断したわけだ。
 しかし、栗山監督の決断はそれだけではなかった。「指名打者・近藤、一塁・中田、左翼・清宮」、同日、この布陣で試合に臨んでいる。近藤が復帰しても、清宮をスタメンで使っていくとも決めたようだ。

 ネット裏にいた他球団スコアラーがこう続ける。
「センターを守っている西川(遥輝=26)の動きを見れば、分かります。相手バッターが打席に向かうときに必ず、レフトの清宮に指示を出しています。定位置よりも前か後ろか、それとも左右のどちらかに少し移動すべきなのかを教えていました。同じバッターでも、点差やイニングによって守備位置を変えなければならないし、そういう細かいことを教えていました」
 バッター・チェンジの合間に、清宮を呼び寄せ、耳打ちする場面も見られた。味方野手もここまで気を配っていたのだから、外野手としての出場機会が前提なのだろう。

「13日、アルシアが左足の故障で登録を抹消されました。外野手のアルシアが万全だったら、清宮もどうなっていたか分かりません」(スポーツ紙記者)
 一軍定着と見るのはまだ早いとする声も聞かれたが、現在の清宮が「レギュラー扱い」されている証も見られた。5月8日、京セラドーム大阪で行われたオリックス戦でのことだ。ビジターの日本ハムが球場に現れたのは、午後3時過ぎ。その際、清宮は2番目に打撃練習をするよう、指示されたのだ。
 一番手で打撃ケージに入ったのは、同日、スタメンマスクをかぶった捕手の鶴岡慎也(37)だった。試合前のキャッチャーは、何かと忙しい。自身の練習のほかにブルペンに顔を出し、先発投手の状態を見なければならない。スコアラーからデータをもらい、対戦バッターの好不調、直近試合で見られた傾向などを伝授される。それらをインプットし、先発投手と改めて打ち合わせをする。よって、スタメン捕手の練習は最初に消化させるのがプロ野球界の慣例だ。

「スタメン出場する選手も最初のほうで打撃練習をさせます。着替えなどはもちろん、相手投手のデータを教えなければなりませんから」(前出・プロ野球解説者)
 打撃ケージに入る順番は、ロッカールームなどに貼り出される。スタメン出場する主力バッターは1ケタ台であり、今もその順番に置かれているわけだから、栗山監督は清宮をレギュラーと判断したと見ていい。
「清宮の一軍昇格を話し合っていた4月下旬、二軍首脳陣は時期尚早だと言って反対したんです。その際、すぐに降格させるようなことはしない、一軍でこれまでの教育ビジョンを引き継ぐと約束しました。近藤と入れ換えて降格させたら、一軍と二軍の首脳陣が衝突してしまいます」(球界関係者)
 分岐点となった15日、第3打席で久々に清宮のバットから快音が聞かれた。一時期の勢いも止まっていただけに、一軍首脳陣はこのヒットに安堵していたのではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)

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