『チケットストリート』は、チケット売買仲介サービスを手掛ける大手サイト。スポーツやコンサートなどのチケットが、出品者・購入希望者の間で数多く取引されている。
上記の3球団は、今回の提携をそれぞれの公式サイト上で発表。ロッテの公式サイトによると、今回の連携の背景には「スポーツ観戦チケットを取り巻く利用者のニーズや展開されているサービスなど様々な環境変化」があったという。
一方、『チケットストリート』のリリースでは、今年6月施行の「チケット不正転売禁止法」で、主催者側にもチケットリセール環境の整備などに向け努力が求められるようになったことが提携の理由としている。転売目的の大量購入で品薄となり、それが転売品の値段高騰にもつながっている現状が背景にあることは想像に難くない。
この提携により“公認リセールパートナー”となった同サイト上では、3球団のチケット売買は今後「球団公認」として扱われるようになるとのこと。加えて、チケット買い占めなどの不正行為について、3球団を交えた上で対策を検討できるようになるという。
しかし、同サイト上のチケット出品状況を見ると、今現在も数多くの高額転売チケットが存在している。例えばロッテの場合、チーム一筋26年の大ベテラン・福浦和也の引退セレモニーが予定される試合(来月23日、日本ハム戦)のチケットには、最も高額なもので定価の約8倍の値段がつけられている。
また、同サイトの提携リリースによると、チケット価格に関しては「購入価格にかかわらず、売り手が取引希望金額を自由に設定できます」とされており、日本ハムのサイト上にも「対象試合の該当チケット価格相応での譲渡を推奨いたします。※チケットストリートのシステムにおきましては、出品時に希望取引価格を設定できる仕組みになっています」と同様の記載がある。定価での販売が必ずしも義務付けられていないということを考えると、不正転売はともかく高額転売の撲滅に効果を発揮するかどうかは全く不透明だ。
以上のような事柄が影響したのか、今回の提携を受けてネット上のプロ野球ファンからは「取り組みはいいけど提携先がダメ」、「定価販売じゃないなら全く意味がない」、「なぜ高額転売を放置するようなサイトを選んだのか」、「こんなところと組むぐらいなら新しくサイト作った方がマシ」といった批判が噴出している。
今回参加していないパ・リーグのソフトバンク、西武、楽天のうち、ソフトバンク(ヤフーチケット、チケットマッチング)と楽天(楽天チケット、電子チケットリセール)は親会社、もしくはグループ会社がチケット売買サイトを運営しているが、どちらのサイトも定価リセールのシステムを設けている。定価での販売に限定することも十分可能なだけに、なぜそうしないのか、とファンに不信感を持たれるのも致し方ないのかもしれない。
前述の提携リリースを見ると、『チケットストリート』は今回の提携に関して「成約チケット価格の5%(税別)+公認サービス利用料(税込500円/枚)+決済手数料3%(税別:最低300円)」という内訳の手数料を設定している。もしかすると、定価販売に限定しない理由はこのあたりにあるのかもしれない。
文 / 柴田雅人