経済アナリストが言う。
「ギリシャ危機は、EU(欧州連合)やIMF(国際通貨基金)から借りた総額43兆円の借金を返せないことから始まりました。これが引き金となって世界の株価は大暴落。中でも上海株式市場の暴落ぶりは凄まじく、3週間で約30兆円が吹っ飛んだほどです。そのため、ギリシャが財政緊縮案をある程度は受け入れ、EUやIMFが追加支援を承認しそうな今になっても、中国バブルの崩壊は歯止めが利かないとみられている。両国の経済的な繋がりは想像以上で、世界経済をけん引してきた中国の没落が、世界的な金融大恐慌を引き起こす可能性も出てきた」
近年、中国はEU市場への足掛かりとして、ギリシャ経済に深く食い込んできた経緯がある。その実例が、'09年に中国企業がギリシャ最大のピレウス港にあるコンテナ埠頭の運営権を買収したことだ。
「同港はEU有数の港で、このコンテナ運営権を中国遠洋運輸集団が取得。その後も中国政府は自国製品の市場拡大を狙って、ギリシャに空港の民営化まで迫っていたのです。こうした攻勢で、'14年度のEU諸国への貿易額は、米国に次ぐ67兆円に膨れ上がったが、ギリシャのデフォルト危機で今後はEU不況が深刻化し、中国の輸出量も加速度的に減少すると、英国のBBC放送も警告しているほどです」(同)
また、政府レベルでも昨年、李克強首相がギリシャを訪問。約50億ドル(日本円で約6000億円)規模の貿易投資協定に調印したが、デフォルト問題が火を噴くや同首相はギリシャ支援を訴え、裏で同国の国債を大量購入する密約を結んだとも伝えられている。
「EUが追加支援しても、早晩ギリシャが破綻するのは目に見えている。その最中に、中国が紙クズ同然の国債を買う姿勢を見せているのは、EUへの輸出量が急減し、株価や不動産バブルがはじけて国民感情が政府批判に向かうのを避けるためです。特に上海市場は昨年と今年の二度にわたり、政府が中央銀行の貸出と預金の基準金利を引き下げたため、株価が上昇の一途を辿ってきた。この急落で世界恐慌が起これば、国際的にも金融失策を追及されかねず、海洋覇権などをゴリ押ししてきた中国の権威も一気に地に墜ちてしまうのです」(全国紙経済部記者)
要は、ギリシャ経済に食い込み過ぎ、金融政策の失敗もあって中国経済が急激に失速。世界恐慌が巻き起こりそうな機運が高まっているのだが、実はこの上海株の地盤沈下には、“別の理由”も存在すると言われている。
「先日、香港の週刊誌『亜洲週刊』の幹部が、フランスのラジオ番組で“国内の江沢民一派が相場を操作し、株を乱高下させている”と暴露した。知っての通り、習近平は腐敗官僚の撲滅をお題目に江沢民元国家主席の一派を根絶やしにする策を取ってきた。この一派が、上海市場の暴落に乗じて中国経済を大混乱に陥れ、習政権を転覆させようと蠢動していると言いたいのです」(中国のメディア関係者)