スプリントGIの舞台は、春に高松宮記念、秋にはスプリンターズSが設定されているものの、ここ数年、春秋両方を制した馬は、ビリーヴくらい(2002年秋のスプリンターズSと、03年春の高松宮記念の変則制覇だったが…)。
スプリント戦線といえど、一年を通して調子を保つのは意外と難しく裏を返せば、その時々で最も勢いのある旬の馬が狙い目ということにも通じる。
もちろん、重賞実績、平坦コースの巧拙、別定重量での良績が背景になくてはならないが、その条件を近3走という短いスパンであっさりクリアしたのがアーバンストリート。
3走前に57キロを背負い、とりあえず1600万をクリア。続く尾張Sは、追い込み届かずの3着に敗れたものの、上がり3Fは最速。前走のシルクロードSでは、尾張Sで先着を許したヘイローフジに借りを返すと同時に、一気にGIIIを奪取した。ラスト1Fで、ヌッとばかりに現れた見た目の迫力も満点なら、上がり3F33秒9も最速。それまで条件クラスで足踏みが続いていたキャリアを考えると飛躍的な成長を遂げている。
しかも、中京は<3022>というコース巧者。シルクロードSをステップに、このGI・高松宮記念を制した昨年のファイングレインと姿がダブって仕方がない。その名とは対照的にローカル限定馬だったアーバンストリートが、平坦コース唯一の高松宮記念で表舞台に立つときがきた。
もっとも、スリープレスナイトという壁は強大。ただ、いかんせん今回は6カ月ぶりの実戦。鉄砲実績もあるにはあるが、調整の意味での放牧と違って、今回は休養中にジンマシンを発症。必ずしも意図したものではない。
1週前の追い切りで、800メートル50秒3という坂路一番時計は出たものの、テンに飛ばして力んだ分、ラスト1Fは13秒1とアップアップ。元来、坂路で動く馬とはいえ、いいころは、流れるようなラップを刻み、ラスト1Fも12秒5前後でスパッと伸びていた。直前の追い切りでどう変わるかだが、今回に限っては、付け入るスキがあるはずだ。
ほかでは、京阪杯で上がり3F32秒6というケタ違いの末脚を駆使したビリーヴの仔ファリダットにも一瞬、心が揺らいだが、いまだ重賞未勝利の上、57キロでは勝ち星すらない。左回りにも若干、課題が残る。
アーバニティは連闘明けの一戦。冒頭で述べた上がり馬の条件はクリアしているものの、目に見えない疲れが心配だ。