A:ご質問の方は、典型的な片頭痛の症状ですね。とても苦しいでしょう。
私のクリニックは内科ですが、片頭痛で困っている人がよく受診されます。その大半の人が、治療薬や予防薬で痛みは治まるけれど、発作が起きないようにしたい、できるだけクスリを使いたくないというのです。
問診していろいろたずねると、頭痛自体がストレスとなり、薬で症状を抑えられるから安心というではないことがわかります。ご質問の方と同じ悩みを抱えているわけです。
片頭痛の原因は明確には解明されていないし、さまざまな要因が関係しているでしょう。それはともかくとして、上咽頭擦過治療を試してみてはいかがでしょうか。
●上咽頭炎が疑われる
私のクリニックでは、片頭痛の患者さんにこの治療を行っています。上咽頭炎という病気があります。鼻とのどの間(鼻の奥の突き当たり)のことを上咽頭といいます。
この部位にウイルスや細菌が感染すると、上咽頭炎が起こります。また鼻炎や副鼻腔炎による鼻漏が上咽頭に流れることによっても、上咽頭炎が起こります。
それが慢性化(慢性上咽頭炎)すると、鼻とのどの間の痛み・違和感・乾いた感じ、後鼻漏(鼻の奥からのどに鼻水が流れる)、頭痛、倦怠感といった症状が起こります。
上咽頭は口を開けても見えない部分にあるため、慢性上咽頭炎は、直接上咽頭を見てもわかりません。クロールチンクという薬を上咽頭にこすりつけて出血するかどうかで判断します。出血すると、慢性上咽頭炎があるとわかります。
これは、診断法であるのと同時に治療法でもあります。これを週に1〜2回行うと、多くの場合、3カ月ほどで片頭痛発作が消えていくことが多いようです。
すべての頭痛が上咽頭炎から起こるわけではありません。しかし、難治性のもの、原因がはっきりしない場合には原因として上咽頭炎が関係している恐れがあります。慢性的な片頭痛でお困りの方は、上咽頭炎を疑い、擦過治療を行ってみるのも一考でしょう。
上咽頭擦過治療を行っているクリニックは限られています。耳鼻科や内科でやってくれるところがないか探してみて下さい。
なお、上咽頭炎の人、片頭痛の人は当然のように口呼吸の習慣があるので、これを止めることが大切です。
今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。