「阪神、ヤクルト、巨人が興味を示しているとの情報もありますが、ホークス帰還は既成事実のように捉えられています」(現地特派員の1人)
帰還の仕掛け人は、王貞治球団会長である。ホークス帰還が既成事実のように捉えられている理由でもあるのだが、王会長は和田がメジャーリーグに挑戦した2011年12月以降、毎オフごとに食事をするなどし、接点を持ち続けていたのだ。王会長は故障に泣いたオリオールズでの2年間も和田を励ますなどし、見守り続けてきた。こうした師弟関係を考えると、やはりホークス帰還は“テッパン”のようだが、すんなりとはまとまらないだろう。
「一発逆転があるとしたら、阪神ですよ。阪神は金本知憲新監督を迎え、ペナントレースの敗戦まで吹っ飛んでしまったような期待論でいっぱいです。その新体制を盛り上げるための第2ロケットとして、和田獲得にシャカリキになってくる可能性も高い」(在阪記者)
たしかに、阪神は金本新監督を迎え、異例のドラフトを行った。ドラフト1、2位ともに野手指名である。1位は東京六大学リーグの安打製造機の異名をとった高山俊(22/外野手)、2位も大学ナンバーワン捕手と言われる坂本誠志郎(22)だ。明治大学から1、2位が出たのも意外だったが、阪神はそこから社会人、大学生、高校生の投手を指名し始めた。ほとんどの球団は3位以降の指名は将来性に切り換えていたため、異色のドラフト展開をしたということになる。
「ドラフトの1、2位で消える大学生、社会人投手と、下位に残っている大学生ではスケールが違います。阪神は主力投手陣の高齢化が進み、世代交代の時期に入っているのにビッグネームの即戦力投手を指名しなかったのは、この先の実現可能な補強プランを持っていたのではないか」(他球団職員)
10月22日のドラフト会議時点で、他球団も勘繰っていたという。和田毅を獲るのではないか、と…。
「王会長の性格を考えると、相手が自分の意に反する結論を出しても『頑張れ』と言って、背中を押します。だから、工藤公康監督のように、FA権を行使して他球団に行った選手にも監督就任を要請できるんです」(球界関係者)
和田の「いまは考えられない」という言葉には、メジャー残留のほかにも、「ホークス帰還か、それともタテジマか」の“迷い”も含まれていたのかもしれない。
「巨大戦力のホークスに帰っても、和田の活躍する余地は無いに等しい。工藤監督は若手投手もチャンスをやりたいと思っており、王会長と現場の意思が必ずしも合致しているとは限りません」(同)
ソフトバンクが昨年獲得した松坂大輔(34)は全く戦力にならなかった。しかも、手術、リハビリで来季も投げられるかどうか分からない状況だ。和田も松坂と同い年。もしかしたら、王会長が「是非!」と進めた松坂獲得の失敗が、和田帰還の足枷になるかもしれない。