小説を書くきっかけは作家の新堂冬樹氏に勧められたことだそうだ。
「君なら絶対に書けるって言われたんですが、小説なんて読んだことないから無理ですって最初は断ったんです。でも、自叙伝じゃなくフィクションとして膨らませればいいんだよって。周囲もチャンスだからと後押ししてくれたので、じゃあ書いてみようかと」
着手したのは一昨年の2月ごろのこと。
「最初どうやって書けばいいのか分からなかったので、取りあえず原稿用紙を買ってきて、思いついたことを適当に書き始めました。間違えたら吹き出しをつけて書き足したりするうち、何を書いているのか分からなくなってダメだこりゃと(笑)。そこで5月ごろ小説のためにパソコンを購入しまして。間違ってもボタンひとつで消せるのでメチャクチャ簡単、だんぜん楽でしたねぇ」
それまで書いたものを一度チャラにして構成を組み立て直し、各章ごとにテーマを設定して書き始めると、ようやく目標が見えてきたという。
「新堂さんからは300枚書ければいいから、そこを目指せと言われて。あと何ページって引っぱりながら書いてたら400枚に(笑)。でも、講談社の編集者に見せたらダラダラ書いてあるだけでメリハリがない、起承転結をつけろって。新堂さんに原稿をメールして書き方をアドバイスしてもらいながら、切ったり足したりを何度も繰り返して、小説の形に持っていきました」
本業の合間の執筆活動だけに何度もあきらめかけたとか。そのたびにマネージャーから励まされたことが、処女作の上梓に結びついた。
「文章力に自信がなかったので、筆が進まないときはつらかったですね。でも、私の負けず嫌い魂をかき立てるようにマネージャーがチョコチョコ言うんですよ。それが私を奮い立たせました。そうやって書き進めていたら、何かがひらめいたんです。舞い降りてきたって言ってもいいかな。不思議と手が止まらない。昔の記憶がよみがえってきて泣きながら書きました。あの瞬間は面白かったですね」
主人公は新潟で生まれ育った少女、ひろみとさやか。2人の遠距離友情を軸に、恋愛模様や仕事とプライベートの狭間で揺れるセックスなどがつづられていく。彼女の実体験がベースになってはいるが、もちろん物語自体はフィクション。
「一気にバーッと書いて、後で実在する人物に気を配って内容を詰めていった感じです。主人公は空想の人物なので、この世界を知らなかったと仮定して一般的な目線を心がけて客観的に書きました」
ここで懸念されるのがAV界からのリタイア。本が売れたら“作家”として足を洗うんじゃ…とファンも心配では。
「もちろんまだまだ身を引きませんよ。どんな若いコが出てきても“やらせてくれ!”と(笑)。みなさん安心してください。これからもHなことをしつつ(笑)、みなさんに“次は何をやるんだろう?”とドキドキした気持ちを抱かせ続けるような、そんな活動をしていきたいですね」