こう語るのは琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏である。
9月12日午後7時44分頃、韓国南部の慶尚北道慶州市付近を震源とするM5.1の地震が発生し、その50分後にもM5.8の地震が発生した。韓国の気象庁は2回目の地震について、「1978年に観測を始めて以来、韓国で起きた地震としては最も大きな規模だった」と発表している。
災害対応などに当たる韓国の国民安全庁によると、少なくとも8人が倒れてきた家具などでけがを負ったほか、建物にひびが入ったり、水道管が破裂するなどの被害も約250件以上把握しており、「今後、さらに規模の大きいM6以上の地震が起きる可能性がある」と、引き続き警戒するよう呼び掛けている。
韓国はもともと地震の少ない国だけに、揺れに弱い建物が多い。震源に近い慶尚郊外では、幅10メートルほどの住宅の塀の石垣が倒れる被害なども出ている。地元住民の女性は、「余震で全く眠れなかった。家が損害を受けたので、安全かどうか専門家に調べてもらうつもりだ」と、話している。
また、中心部では住宅の屋根瓦が乗用車の上に崩れ落ち、フロントガラスがめちゃめちゃに壊れていた。乗用車を所有する男性は、「ドーンと何かが落ちる音が聞こえて外に出てみたら、乗用車が壊れていた。非常にショックで、政府に補償してもらいたい」と韓国人らしい反応を見せた。
韓国では7月5日にもM4.9の地震があったばかり。ネットでは「空中で生活する方法はないだろうか?」などという不安の声で溢れている。
「2000年以降、M3.0以上の地震は年8〜9回発生しているが、それ以上の規模の地震はゼロ。過去100年に広げると、M5級の地震は4〜5回。その意味でも、韓国は地震が起きない安全域なんですよ。ところが、この2カ月でM5級が頻発しているのは、韓国でも地震の活動期を迎えたということです」(地質学者)
恐ろしいのは、日本の地震と連動していることだ。
「日本も韓国も、ユーラシアプレートの東端に位置しているので、互いに地震や火山噴火を誘発し合っても何ら不思議はないと思います。例えば、869年に発生した貞観地震。大地震が相次いで起こる今の時代は、あの頃と状況がよく似ているのです」(前出・木村氏)
貞観地震では、三陸沖で推定M8.3の大きな揺れが発生し、地震と津波で1000人以上の死者という甚大な被害が出ている。
サイエンスライターが言う。
「この貞観地震が発生した前後に、最近数十年余りで発生した地震や火山噴火と同じ地域で地震が起きているんです。貞観地震の5年前には、富士山の貞観大噴火も起きている。また、2年後の871年には鳥海山が噴火。貞観地震の9年後の元慶2年(878年)には、M7.4の相模・武蔵地震が発生している。さらに915年には、十和田火山の大噴火による火山灰が東北地方一円に及び、水田が灰に埋もれたという記録も残っているのです」