A:歯が抜けたのを放置しておくと、残った歯は接近してきます。顎のアーチが狭くなり、上下の噛み合わせに異常が起こります。
しかも、歯は骨(下顎骨)に支えられているので、下顎骨の形も変形してきます。何本も歯が抜けたままにしていると下顎が反って、しゃくれてくることもありますからご用心。
●抜けた歯を放置したことが原因
睡眠時のいびきや無呼吸は、鼻に異常がある人や太った人に多いもの。でも、骨格が関係して起こることもあります。
ご質問の方の就寝中に起こる症状は、抜けた歯を放置し、顎がずれていることが原因だと思われます。
というのは、顎は気道(空気の通り道)とかかわりがあるからです。それがいびきや無呼吸をもたらしています。こうしたことは顎が小さい(細い)人によく見られるものです。
顎が小さいと舌が顎に収まりきれず、就寝中に仰向けに寝ると、舌が気道側に落ち込みやすくなります。その結果、気道が狭くなり、それが空気が通るのを邪魔し、いびきをかくのです。
●まずは歯の治療を
ご質問の方の場合、顎が反ってきたように思えるとのことですから、たぶん舌が気道側に落ち込んで気道が狭くなっているのではないでしょうか。
いずれにせよ、下顎の骨格の変形が関係して、睡眠時のいびきを引き起こしています。瞬間的に息を大きく吸い込んで目が覚めるのは、舌が沈下し気道を塞いでいたのが解除されたからでしょう。
とは言え、ご心配なく。歯の治療を受けて、抜けた歯を補正し、歯並びを調整して正常にすることによって、いびきは解消します。
また、反っていると思われた下顎も、以前と同じ元の形に戻ってくるでしょう。
ちなみに、頬がたるんでいるのも、歯が何本も欠けているためです。それも直すことができます。
このように、頬と歯や下顎骨の形は互いに関係しています。ですから、ご質問の方が今すぐすべきことは、歯科医院に行き治療を受けることです。
抜けた歯を放置していると、顎関節症などになるリスクもあります。健康のためにも、早く治療してください。
山田 晶氏(飯田橋内科歯科クリニック副院長)
骨盤療法(ペルピックセラピー)で著名。日本歯科大学卒業。歯科の領域から骨格に関心を持ち、骨盤のゆがみに着目。骨盤のゆがみを自分で取る方法として、腰回しの普及に努めている。