つまりは、臓器の持ち時間を長く保つことができれば、健康も若さも手に入れることができるのだ。
「とくに大事なのが腸ですね。その“持ち時間”が人の寿命を決めるからです。通常は、死因に脳卒中や心筋梗塞が多いことから、心臓や脳が寿命を決めているようなイメージがありますが、実は最も老化が早い腸が体全体の機能を司り、腸の状態が悪くなると、一番に影響を受けるのが脳なのです。お腹の調子が悪いと不機嫌になり、気力や体力、集中力も失せてくる。それが証拠でしょう」(前出・内浦院長)
そのように人の寿命をも左右する腸が、なぜ他の臓器に比べて老化が早いのだろうか。専門家が語る。
「我々の生活の中で、かなり多くの時間が食べること費やされており、腸は食べ物の消化・吸収のために常に働き続けなければならないからです」
また、腸の老化を早める原因に、食べ物が大きく関係しているとする医療関係者もいる。
「肉や加工食品を多く摂り過ぎると、腸や体内が酸化していきます。これが老化を早める原因になるので、植物繊維を多く含む野菜類や海藻、きのこ類などを多く摂ることが大事になります。これは便秘をなくすためにも重要です」
腸の健康を保つためには、便秘を防ぐことが必要でもある。本来、腸は口から取り込まれる飲食物に含まれる栄養素を吸収する一方で、細菌やウイルスによる感染を防ぐために不必要な物は吸収せず、便として体外に排出しなければならない。
だが、便意を我慢し続けたり慢性的な便秘に陥ると、直腸から脳に伝わる刺激が弱くなり、深刻な状況が生まれる。大腸がんなど大腸の病気や、便に血が混じり激しい腹痛に襲われることもあって、専門医による早期の診断が必要となる。
「便秘は腸の老化を自覚するために最もわかりやすい症状ともいわれます。女性の場合、無理なダイエットや偏食で若いうちから便秘に悩む人も多いが、加齢によっても増える。男性は、若い時に下痢の人も、齢を取るとほとんどが便秘気味になってくる。腸の老化は、さまざまな病気を引き起こす要因になるということを自覚すべきです」(専門医)
“快腸”を保つことは、老化を遅らせ若さをアピールできることに繋がるのだ。