「しかし、協会首脳は五輪本番で香川投入を期待している。当初は(香川が所属する)ドルトムントが8月に新シーズンが開幕することを理由に、香川のロンドン五輪派遣を拒否したことであきらめていたが、マンU移籍で状況が急転したのです。ロンドン五輪はイングランドの大会であり、ホスト国のマンUにとっては香川を世界に売り出す絶好の好機。しかも、昨季のプレミアリーグでタイトルを逃しているだけに、スポンサー群を繋ぎとめ、チームをこれだけ変えたとファンに訴えるためにも、香川のロンドン五輪デビューはベストと捉えているようです」(大手広告代理店)
当然、ザッケローニ監督は香川の五輪掛け持ちには難色を示していた。五輪に出場となれば、連携プレーに支障をきたすうえ、ケガや疲労も懸念されるからだ。
しかし、日本のサッカー界は今なおメキシコ五輪での銅メダル獲得が語り草。協会でも五輪メダルはW杯出場切符以上に価値があるものとして捉えている。
しかも、ザッケローニ監督の評価はここにきて下降している。
直近のW杯予選で格下の北朝鮮、ウズベキスタンに2連敗。ザックジャパンの骨格だった本田圭佑(CSKAモスクワ)、長谷部誠(ヴォルフスブルク)、遠藤保仁(G大阪)は賞味期限切れの印象が強く、主役の座は明らかに香川世代にスイッチしている。
「香川が五輪チームを兼務することで、19歳の宮市亮(アーセナル)や今季から独ニュルンベルクに移籍する清武弘嗣、香川に代わってドルトムント入りが囁かれている酒井宏樹らの欧州組が、2年後のブラジルW杯で日本代表の主力世代になるのは自然の流れです」(担当記者)
香川と親しいJリーグ選手が最後に話す。
「真司君は常々、『バルセロナでプレーすることが一番だが、まだ足りない』と話しています。今回のマンU入りはそのためのステップなのです。五輪予選の初戦であたるスペイン戦は憧れのバルサにアピールする絶好のチャンス。是が非でも出たいと望んでいるはずです」
マンU入りの正式発表が、香川のロンドン五輪出場決定でもある。