人魚というと「マーメイド」のような綺麗な女性のイメージが強いが、日本に残されている人魚のミイラはその多くが男性の容姿をしておりグロテスクな怪物のような姿ばかりなのが特長だ。
今回のミステリー記事では妖怪ミイラには珍しい貴重な「人魚のバックショット」の写真をご紹介したい(前述の通り日本の人魚ミイラはまったく「セクシー」ではないのでその点ご勘弁いただきたい)。
魚特有の背びれ、のっぺりとした頭、そしてかすかではあるがウロコのようなものも確認できる。
こちらのバックショットは2014年1月15日に本ミステリー記事でご紹介した「人魚保存研究会」なる団体が発行していた人魚ミイラ絵葉書の裏面部分と思われる。
山口敏太郎事務所がこのミイラ写真を手に入れた時は人魚の正面、人魚の裏面、そして「人魚博説乃由来」という取り扱い説明書のようなものが3枚セットで同封されていた。
恐らく人魚ミイラの写真は写真2枚+説明書のセットで販売していたものと思われる。
「人魚博説乃由来」にはこのミイラがどのような経緯で発見されたかが記されている。経年劣化で文字がかすれている為にすべての判読は不可能であるがこのミイラは最初、美濃(現代の岐阜県)の養老の滝の下に住む老人が持っていたもので、その後大阪の某家に移管され「家賃代わりに保管されていた」と書かれているようだ。
また、公開した理由なども明記されており「学術参考資料にすること」および「不思議な古代の珍品として展示するため」とも書かれている。
なかなかに丁寧な説明書きであり「人魚保存研究会」なる団体は決しておふざけではなく真剣に人魚ミイラを研究していた団体であったことが見て取れる。貴重な人魚の裏面も恐らくは研究のために撮影されたものと思われる。
人魚ミイラのその多くは大型の魚に猿の上半身をつけたものと言われている。しかし「人魚保存研究会」の研究結果が今後、見つかればまた新しい学説が登場することになるかもしれない。「人魚保存研究会」の関係者の方がいらっしゃれば、是非山口敏太郎事務所へご連絡いただきたい。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)