死亡したのは海運会社、ビリオン・バンカー・グループの実質的経営者、陳世憲氏(54)で、同氏は裁判で合計で石油2万8000トン余りを北朝鮮側に不正輸出した事実を認めていた。
「陳氏は『中国政府に濡れ衣を着せられた』と主張しており、陳氏の北朝鮮への石油不正輸出には、中国の仲介業者が介入していたとされています。資産凍結措置を受けた昨年1月にも陳氏は睡眠薬自殺を図り、未遂に終わっています。台湾は国連に加盟していませんが、2017年9月から北朝鮮との貿易を全面禁止し、国連安全保障理事会による対北朝鮮禁輸品目の密輸取引に関与した人物に対する捜査や制裁を実行しています」(国際ジャーナリスト)
一方、昨年5月3日には、東シナ海上海東方沖の洋上において韓国船籍と見られるタンカーが、北朝鮮船籍のタンカーに船体を横付けしているのを海上自衛隊の艦艇が確認した。国連安全保障理事会の決議で禁止されている瀬取り行為で、北朝鮮への石油の輸出が厳しく制限されていることから、同国籍タンカーの洋上での荷の受け渡しは違法取引の可能性が高い。
「韓国では、昨年4月27日に行われた第3回南北首脳会談以降、北朝鮮の行動を容認する風潮が高まっている折のことでした。韓国の船舶が違法な瀬取りに関与した疑いが持たれたのは、これが初めてでしたので、同年同月13日に、日本国政府は、慎重に調査の上、韓国政府に対し事実確認を要求しました。洋上で2隻が接舷するのは明らかに不自然な行動ですが、韓国からは『違法取引の事実は確認できない』との返答でした。このときは未遂でしたが、北朝鮮に手を貸す韓国籍船の国際法違反を隠ぺいするかのような韓国政府の態度に、米国などは不信を抱いたのです」(同・ジャーナリスト)
自衛隊哨戒機へのレザー照射事件も瀬取りの発見を妨害する意図だった可能性も指摘されている。台韓の責任の取り方は明確に違うようだ。