目は脳と直結し、体の中で最も進化した物を見る器官だが、実は脳の出先器官でもあり、実際は脳で見ている、と言うのは回生眼科院長で『白内障、緑内障が少食でよくなる』(マキノ出版)の著者でもある山口康三氏だ。著書の中でこう記している。
《よく“目は心の窓”といわれますが、目はまた、全身の健康状態を映す窓でもあります》
目は全身の健康状態と深い関係にあって、その人の健康状態をダイレクトに反映しているという。
「健康な人は目がキラキラと輝いているし、病気があると目は力を失ったり、濁ったりします。“目は口ほどにものを言う”も同じ意味で、やる気があるときは目は力を持っているし、精神状態が不調な時は目に力がありません。目は外界と体内部の両方を見せてくれる“ダブルウインドー”になっているのです」(山口氏)
それだけ、目の器官は大事であり、しっかりと守らなければならないということである。ちょっとしたことでも心掛けよう。便秘傾向にある人は、加齢黄斑性変性症になりやすいといわれる。1日3回ほど黄色い便が出るように生活改善してみてはどうか。
さらに、睡眠を十分取ることも老化を防ぐ。遅くとも夜11時には就寝したい。テレビやパソコンもほどほどにし、体調が悪い時ほど早く寝ることにする。そして、抑圧された怒りや欲求不満など、ネガティブな感情を減らしたり解消させれば、眼圧が下がるという専門家もいる。あとは何といっても食事療法だ。
「活性酸素も、黄斑変性症を引き起こす要因なので“大食”は禁物。体内で大量の活性酸素を発生させるので、私は“少食のすすめ”を提案します」
これは、栄養管理士で料理研究家でもある林康子氏の弁。さらに、抗酸化作用のあるビタミン、ミネラルなどの栄養素を十分に摂ることだと言う。
中でも重要なのは、ビタミンCと亜鉛。ビタミンCの血中レベルが低い人は、黄斑変性症に2〜3倍かかりやすい。ビタミンCは天然の紫外線フィルターの役目をするので、網膜の老化を防ぐ効果がある。一方の亜鉛も目にとって最も必要とされ、これが不足すると網膜が変性し、逆に十分摂っていれば視力も安定し、黄斑変性症が改善する可能性があるとも言われる。
いずれにしても「仕事が忙しいから」を理由に、人間が生きていく上で最も大切な目を、粗雑にしたりチェックを怠ったりしていると、取り返しのつかない事態に至ることを再認識すべきである。