西岡は契約更改後、「二遊間というものにこだわっていく」と、和田構想にハッキリと異を唱えている。
「和田監督は『鳥谷の去就が決まり次第、直接話をしたい選手がいる』と語っています。その気配りはともかく、西岡を納得させられるかどうか…。『構想に合わなければ他球団』なんてことにもなりかねない」(前出・在阪記者)
同時に、正三塁手のダークホースとして秋季キャンプで頭角を現したのが陽川尚将だ。「高卒時に巨人の育成指名を蹴って進学。東都2部リーグから這い上がってきた」という経歴は、虎ファンの心をくすぐる。将来の和製大砲候補であり、掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター(DC)の門下生でもある。
「二軍スタッフは陽川と北條史也を推しており、2人とも掛布DCの愛弟子。その発言力がさらに高まるのは必至です」(同)
掛布DCは和田監督の去就が騒がれていたころ、コーチ入閣も伝えられていた。もろもろの理由で見送られたが、そのネームバリューは“営業的武器”にもなる。教え子が一軍に増えれば、チームに帯同させるのが自然の流れだろう。
「江夏氏の臨時コーチ招聘を提案したのも掛布DC。阪神若手は伝統球団独特の注目度で自分を見失っているとし、江夏氏に『技術論だけではなく、精神論も』と推していました。秋季キャンプ中、その提案をした後、ケータイですぐに江夏氏本人に電話を掛けていました」(前出・関係者)
江夏氏が鍛え上げる投手を、生かすも殺すも捕手次第。新人ながら梅野隆太郎は92試合に出場した。多少のミスには目をつむり、このまま育てていくべきだが、阪神スカウト陣は来春のセンバツ大会に向け、捕手を重点とする指名候補リストの作成に入った。
この時期にリストを作成するのはどの球団も同じだが、編成部門の指令は『正捕手候補の発掘』。育成を含め、'13年まで4年連続で捕手指名してきたのに、だ。
「藤井彰人、鶴岡一成は30代後半。捕手の若返りも急務ですが、今季を支えた中継ぎ投手は37歳の福原忍と36歳の安藤優也。ドラフト2位の石崎剛以外、中継ぎが補強されていない」(スポーツライター・飯山満氏)
伝統球団独特の“注目度”はあるだろう。しかし、甲子園優勝投手の肩書を持って阪神入りした藤浪は、自分自身でそれを乗り越えて今日に至っている。要はトラの育成カリキュラムに問題があるのだ。
80周年は、そんな内部のウミが一気に露呈されるシーズンとなりそうだ。