重賞初挑戦は何と、デビュー20戦目。5着に終わった昨年のエプソムCだった。これを皮切りに重賞挑戦を続け、(3)(2)(4)(2)(4)(4)(2)着。健闘はするが“善戦マン”の域を出ることはなかった。
しかし、歩みは遅くても、着実に成長はしていた。晩成型の本領を一気に発揮したのが今春の天皇賞だ。単勝12番人気の低評価を覆すべく、3角から一気のスパート。初重賞制覇がGIという快挙を達成した。
GI連覇を狙った宝塚記念は、ドリームジャーニーの前に7着。だが、敗因は能力以外のところにあったという。
「天皇賞がピークの状態で、目に見えない疲れが残っていました」と佐藤助手は振り返った。栗東に滞在するなど陣営は工夫を凝らしたが、12キロ減の馬体重からも、調子に陰りがあったことはうかがえる。
「レースも内でゴチャついて、スムーズさを欠いた。阪神コースも合わなかったし、不完全燃焼でしたね」。厳しい条件がいくつも重なったとはいえ、同助手はGIで続けて好勝負する難しさを痛感したという。
復帰戦には、早くから京都大賞典が選ばれた。が、この秋の最大目標はジャパンC。そのため、目イチの仕上げといかないのは仕方ないだろう。30日、美浦のWコースで行われた1週前追い切りも、完成された牡馬としては食い足りなかった。
6F84秒1→69秒2→54秒9→40秒8→14秒4(馬なり)。同助手は「本来が使われて良くなるタイプだし、久々の割引は必要でしょう」と控えめに話す一方、「来週やれば9分近くまで持っていけるでしょう」との見方も示した。
仕上がり途上でも陣営を強気にさせるのは、馬のたくましさとコース相性だ。「ひと夏越して、全体的にパワーアップしている。仕上げも以前より楽になったし、手間取らないのが何より」と頼もしそうに見つめた。
さらに「京都は天皇賞を勝った相性のいいコースですから。この馬の底力があれば、十分チャンスはあるでしょう」と締めた。
サクセスストーリーはまだこれから。カメの行進は簡単には終わらない。