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どぶろっくの「下ネタ」はなぜ受け入れられた? 人が下ネタで笑ってしまうワケ

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どぶろっく・森慎太郎、江口直人

 21日に決勝戦が生放送された『キングオブコント2019』(TBS系)で、12代目王者となったどぶろっく。下ネタを得意とする彼らが今回優勝を飾ったネタは、「大きなイチモツをください」という、やはりこれも下ネタである。

 どぶろっくは、お笑いネタ番組ブームにも乗り「もしかしてだけど」というフレーズで2014年頃にブレーク。8年ぶりに同大会に出場した2人が披露したのは、出演したオペラから着想を得た、ミュージカル仕立てで下ネタソングを歌うネタ。決勝戦ファーストステージの6番目にネタを披露したが、それまでの芸人のネタが爆発力に欠け得点が低かったこともあり、この日初の大爆笑を起こしたと言っても過言ではなかった。得点もこの日最高の480点。高得点を付けた審査員らは司会のダウンタウン・浜田雅功から「下ネタ好きやな」とツッコまれていた。

 人はなぜ下ネタで笑ってしまうのか。

 まず主な原因の一つとして、誰もが持つ「タブー意識」が前提となっていることが挙げられる。タブー意識には生得的なものと後天的なものの2種類があり、生得的な理由としては、生命の維持または種の保存における重要な役割を担うもの、あるいは守らなければならないデリケートなものとしての認識がタブー意識につながっている。

 例えば、もしも局部を開けっ広げにしていれば、負傷したり攻撃されるリスクが高くなってしまうため、無意識的に秘密の部分として隠すのであり、それがタブー意識へとつながる。後天的な理由としては、下品なことをしてはならない、言ってはならないという社会通念において形成されたタブー意識がある。

 人は変化を好む性質を持つがゆえに、“ギャップ”に対して好感を持って反応する傾向がある。タブー意識によって抑え込まれている下ネタが、解放されて表に出るというギャップを感じることで「面白い」と反応してしまうと考えられる。

 また、下ネタが面白いと感じられるのは、下ネタを言うことが許される環境であるという条件がある。芸人は舞台の上で下ネタを披露するが、日常の場面では会話をする対象、あるいは場所によってその環境は限定される。つまり、下ネタを披露する環境・シーン選びを誤れば、周囲に不快感を与えてしまうということになる。

 さらに、下ネタには良質なものとそうでないものが存在する。良質な下ネタとは、ある一定の振れ幅を保ったものであり、主に含みのある間接的な表現などが好まれる。例えば、局部の名称を連呼するといった直接的な下ネタは、一般常識が通用しない子ども社会の中では大ウケしても、大人社会では質の悪い低俗な下ネタとして敬遠される。

 これらの条件に加えて、外見や音楽性、演技性、滑舌の良さといった高いエンターテインメントクオリティが加われば、笑いを誘う要因としてなお完成されたものになるだろう。

 どぶろっくが優勝を勝ち取ったのも、この“良質な下ネタ”だった。このように、万人に受容される下ネタとは、潜在的背景を含めた複数の原因の相互作用によるものと言うことができる。

文:心理カウンセラー 吉田明日香

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