このニュースの現場を歩いた。(湯島ってそんなところなのか?)という素朴な疑問があったからだ。
千代田線の湯島駅3番出口を上がってすぐ目の前の方角が、湯島3丁目の客引き地帯だ。さらにまっすぐ進んでたった一つ目の信号のあたりが、上野2丁目の客引き地帯。(さらにひとつ先の信号がもう上野松坂屋前である。)このあたりは台東区の商業地域で、規制は極めて緩い。
有名な湯島天神は、ちょうど駅前の通りを挟んで、客引き地帯とは間逆にひっそりとたたずむ。こちらは文京区なのだ。天神近くには三味線の製作所や氷屋、老舗料亭などなどひなびた店も多く、そのコントラストはすごい。…といいたいところだが、
「商業地域とそうでない地域が非常に入り組んでるんです」(近隣住民)という言葉通り、“こちら側”にもラブホテルが点在。やれやれ、精進落としとはいったもんだが…、と閉口する感じである。湯島の町自体、「もう10年ぐらいはこんな感じ」(近辺のサラリーマン氏など)らしい。
そんな歓楽街、とくに湯島3丁目あたりは、小さな雑居ビルに40店舗近く店を構えているビルもあり、きらめくネオンは壮観である。この狭いエリアの“小銀座”といった体でクラブとパブが密集している。
では、最盛期には約130人がいたともいわれる客引きがどこにいるか。
その“小銀座”とは反対岸を少し歩いた上野2丁目の裏通りも、飲み屋密集地帯。筆者が訪れたときには、客引き女性が30人ほど立っていた。
「そのあたりに立っている子は、ただの飲み屋の子とは限らないんです。我々の制服を見ると蜘蛛の子を散らすようにいなくなるので売春の摘発は難しい」(見廻りの警官)
中には、そんなよからぬ店の存在を話し出したお姉さんもいたのだが、これ以上は割愛。学問の神様の町は、極めてディープな客引き地帯がいまだ存在する町でもあるのかもしれない。(了)
ライター 澤田瑛和