「早く所属先が決まらないかなあ…」
侍ジャパンの弱点は、絶対的なクローザーがいないことだった。前述の誰の所属先かといえば、上原浩治だ。上原はメジャー通算93セーブを挙げている。レッドソックスからFAとなり、今季カブスと契約したが、その過程で「上原の所属先が早く決まれば、侍ジャパンに招集できる」と“淡い期待”を寄せていたのだ。
「一昨年秋のプレミア12以降、東北楽天の松井裕樹を育てようとしていました。権藤博投手コーチはかなり早い時期から日本人メジャーリーガーのいない投手構成を念頭に、菅野智之や則本昴大の臨時クローザー案を口にしていましたが…」(スポーツ紙記者)
小久保監督の気持ちも分からなくはない。しかし、上原を呼べば、これまで松井に経験させてきた時間がすべて無駄になってしまう。指揮官は日本人メジャーリーガーの招集にすがるほど、不安になっていたようだ。
「“困ったときの牧田”なる言葉も流れています。アンダースローの牧田和久は先発、中継ぎ、クローザーのすべてを経験しており、使い勝手もいい。外国人投手にクローザーを託す国内球団が多いことは分かっていたはず。見通しが甘かった」(前出・ベテラン記者)
3月3日にはチームのまとめ役としても期待されていた楽天の捕手、嶋基宏も故障リタイアとなった。
「過去3大会の捕手は城島健司、里崎智也、阿部慎之助、谷繁元信。みな強打の重鎮です。嶋は楽天で自分なりの正捕手像を作りましたが、現代表チームには城島たちのような強い存在感を持った選手がいません。昨季、規定打席に到達した捕手は巨人の小林誠司だけ。12球団の捕手の小粒化も問題です」(同)
前大会と比べ、12球団のチーム構成も大きく変わった。それに適応した代表をチーム編成すべきであるが、若い小久保監督は適応しきれなかったようだ。
そう考えると、選手を適材適所に用いて高い勝率を誇った落合氏が適任者ということになる。
「熊崎コミッショナーはONに相談してから最終決断を下すつもり。かつて落合氏が代表監督候補の1人に挙げられたとき、王貞治会長は会議出席者の意見を聞くだけで、反対はしなかったはず。今回も聞き役に徹するのではないか」(同)
“オレ流ジャパン”誕生となれば、代表選手には安心感が芽生え、仕事により集中できる。
落合氏は現在フリー、断る理由はない。