もしも、ジャパンCの舞台が中山競馬場だったら、マツリダゴッホは文句なしに最有力候補だろう。
昨年の有馬記念V、酷量59キロをものともせず圧勝した今年の日経賞、2連覇を達成した前走のオールカマーを含め、10戦7勝(重賞5勝)と圧倒的な強さを誇る。唯一の着外は競走中止したセントライト記念(06年)だから、ほぼパーフェクトに近い。
佐藤助手は「中山コースは、馬も人も勝ち方を知っている」と話す。しかし、ジャパンCを有馬記念のステップレースと侮ってはいけない。
というのも、去年の天皇賞・秋(15着)当時とは別馬のようにたくましく成長を遂げているからだ。
その昨秋の天皇賞は「中山コースのつもりで、3角からスパートしたら失速してしまった」と佐藤助手は振り返った。だが、現在は違う。「乗り役のコントロールが利くようになった。それだけ、馬に余裕が出た証拠だね(笑)」。直線まで我慢して、メンバー最速の差し脚で突き抜けた前走のオールカマーは真骨頂だった。
もちろん、最大目標はグランプリ2連覇。従って、「有馬記念をピークに持っていくように調整している」というのが本音だが、「調子は確実に上昇カーブをたどっている」と佐藤助手はアピールする。
生半可の仕上げで出走して、反動が出たら元も子もなくなるだけに、そのあたりは用意周到だ。「1週前は本番を想定して、左回り(北Cコース)でやった。ちょっと左にモタれていたが、1週前としては上々の動きだった」と仕上げに抜かりはない。
最後に勝算はどうか水を向けると、「心身ともに充実著しい今なら、チャンスはあると思う。終いの瞬発力はすごいものがあるので、坂の手前まで我慢できれば」と佐藤助手。実績のない左回りを克服した先には、年度代表馬の座も見えてくる。
【最終追いVTR】蛯名騎手を背に、坂路を1本上がった後、ポリトラックへ。左回りに慣れさせるため、意欲的にテンから1F13秒台で飛ばしていく。手応え良く直線を迎えると、バネの利いたフットワークでラスト1F11秒7でフィニッシュ。全体時計は驚がくの6F74秒5。まさに究極の仕上がりだ。