いろんなレースに出走した。いろんな経験もした。そのすべてが血となり肉となり、エイシンパンサーはひと回り大きくたくましくなった。
「力をつけている。桜花賞へ向けて、何とか権利を取りたい」と平田師はうなずいた。
昨年6月の新馬戦で見せた一枚上の決め手。上がり3F33秒9の末脚を繰り出して、一躍スター候補に名を連ねた。しかし、そこから苦難の道のりが始まった。
圧倒的1番人気が予想された次の新潟・マリーゴールド賞を取り消すと、新潟2歳Sは4着、ファンタジーSは折り合いを欠きながら何とか3着に食い込んだが、阪神JFは15着に大敗した。そこで年明けから3戦は、競馬を覚えさせる意味でダートへ。ここで結果を出せなければただの条件馬に成り下がってしまうところだったが、(2)(2)(1)着ときっちり結果を残した。
「もともとセール(JRAブリーズアップセール)出身馬で、ダートの動きが良かったからね。ダートでもチャンスはあると思っていた」砂をかぶっても我慢することを身につけて、パンサーは再びきっかけをつかんだ。
そして迎えた桜へのTR。「本来は芝の方が断然いい馬だから」と師は期待を寄せている。ローテーションが詰まっていることもあり、中間は坂路で軽めの時計しか出していないが、体の張りは失われていない。好調をキープできている。
「阪神JFは折り合いを欠いてオーバーペースになった。あれでは大敗も仕方ない。まだ折り合いには多少の不安があるけど、千四なら能力だけで3着したファンタジーSのように何とかなるはず」
並み居る良血牝馬をまとめて負かし、再び主役を狙う。