「中村勝広GMを筆頭に、フロントは優勝を目指して大型補強を続けてきました。現場も強く意識していますが、それを口に出してはいけないという、暗黙のルールみたいなものがあったんです」(トラ番記者)
阪神には苦い経験がある。2008年、前半戦を独走し、7月にいったんマジックナンバーを点灯させたが、シーズン終盤で巨人に逆転優勝を許してしまった。この敗北は今もトラウマとなっており、当時、内野守備走塁コーチだった和田豊監督も「優勝を軽々しく口にすると、選手に余計なプレッシャーがかかる」と考えているのだ。
では、なぜ解禁なのか。
「あの年は『追われる立場』、今年は『追う立場』ということで、むしろ“優勝”を口に出して発奮させようということでしょう」(前出・記者)
モチベーションを上げるための秘策。その考えも間違ってはいない。しかし、それは後半戦を巻き返すカードが「他にない」と言っているのも同然だ。こんな指摘も聞かれた。
「クローザー不在の不安が解消されていません。ポスト藤川球児の大役を託した久保康友を、後半戦から先発に戻す案も浮上してきました」(球界関係者)
まもなく、高校球児に甲子園球場を明け渡す長期ロードが始まる。それは毎年の話だが、今季日程表を見ると、後半戦スタート時から9月半ばまでの7週間が、全て6連戦という強行スケジュールになっている。投手不足はクローザーだけではなく、先発投手もパンク寸前なのである。
「能見篤史、スタンリッジ、メッセンジャー、榎田大樹、藤浪晋太郎はともかく、ここに来て、岩田稔の不振が響いてきました。秋山拓己もイマイチ」(同)
どうやら本当に“優勝”の二文字でハッパをかける以外、策がなさそうだ。1985年の“日本一猛打”のように、打線でカバーできればいいのだが…。
後半戦の阪神は、スクランブル態勢必至である。


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