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金正日総書記「重病説」のウラに新・軍事行動説

 金正日総書記の「重病説」が世界中を駆け巡ってから、きょう13日で5日目になる。金総書記の安否については「重病説」「死亡説」「回復説」などさまざまな情報が乱れ飛んでいるが、どれも確定的なものではない。そんな中、北朝鮮が新たな軍事行動に出るとの観測も流れている。軍事パレード欠席は何らかのサインなのか。いったい北朝鮮で何が起こっているのか、これまでの経緯と今後の行方を追った。

 重病説の口火を切ったのは、韓国紙・朝鮮日報だった。同紙は9日午前、中国駐在の韓国大使館関係者の話として「金総書記が先月22日に(健康悪化のため)倒れた、という情報を入手した」と速報。同日午後に予定されていた北朝鮮建国60周年の軍事パレードに金総書記が姿を現さなかった場合は「健康に深刻な問題があるものとみなければならない」とした。
 実際、パレードに金総書記の姿はなく、重病説はまたたく間に世界中に広がった。
 その後、金総書記の病状についてはさまざまな憶測が流れている。韓国大統領府は10日、「脳血管疾患による脳卒中から回復中であり、現時点で深刻な状況ではない」と発表。これで落ち着くかに見えた。
 ところが11日、金総書記の三男・正雲氏の身に致命的な危険が生じ、精神的ショックを受けたことで金総書記が倒れたとする“新説”が登場。情報は錯そうし、その真相をめぐって依然として迷走状態が続いている。
 重病説自体がカモフラージュで、近く北朝鮮が軍事行動に踏み切るのではないかとの観測もある。米朝関係は核問題をめぐって混とんとした状態が続いている。
 一時は米国が北朝鮮に対するテロ支援国家指定の解除を行うとし、それを受けた北朝鮮が核関連施設を派手に爆破するなど、解決に向け順調に進んでいた。
 しかしその後、「核検証手続き」と「指定解除」のいずれを先にするかでこじれ、米国は先月11日に実施予定だった指定解除を先延ばしすることを表明。反発した北朝鮮は「核施設の無能力化措置を中断する」との声明を発表した。
 北朝鮮事情に詳しい評論家の河信基氏は「米朝関係が停滞したままであれば、来月10日の朝鮮労働党創建記念日に正規軍が登場し、そのままミサイル・核実験再開へと突き進む可能性がある」と警鐘を鳴らす。
 今回、北朝鮮は軍事パレードに正規軍ではなく、民兵組織を参加させている。それについて河氏は、「今後の行動を暗示する北朝鮮流のメッセージだ」と指摘する。アーミテージ元米国務副長官が9日に「個人的には北朝鮮が近いうちにミサイルを発射すると思っている」と語ったことも見当外れには聞こえない。
 AP通信は10日、北朝鮮が新たに長距離ミサイル発射施設の建設を進めているとし、米情報当局者の話として「いつでも使用可能な状態」と報じている。この施設が近々使用されないという保証はどこにもない。
 北朝鮮は2006年にミサイル発射実験、核実験を相次いで行ったが、その際も金総書記の動静が途絶えたことがあった。今回も金総書記は健康体で、策を弄するために籠っているとも考えられる。
 「重病説」「軍事行動暗示説」のいずれも現状では不確かだが、北朝鮮情勢に不穏な空気が漂っていることは確かだ。

○新たな長距離ミサイル発射基地建設中
 韓国筋の事情通によると、北朝鮮が新たに長距離ミサイル発射基地の建設を進めているのは同国西海岸エリア。「ポンドン里という静かな集落で、8年以上前から大型建機を持ちこんでひそかに建設に着手している。最先端兵器を集中させる狙いのようだ」(事情通)という。
 衛星写真を民間専門家が分析した結果、新施設建設が進行していることが裏付けられた。米情報当局もその存在は把握している。発射台のほか、ロケットエンジンのテスト施設などもあり、より大型のミサイル発射や短時間での連続発射も可能とみられている。
 北朝鮮は06年夏、東海岸の咸鏡北道花台郡舞水端里のミサイル基地から長距離弾道ミサイル「テポドン2号」を発射した。新施設はこのミサイル基地より大規模で、設備なども充実しているもよう。専門家は「北朝鮮が弾道ミサイル開発を続けている明確な証拠」と指摘する。
 韓国の李相喜国防相もこの情報をキャッチしており、「工事は概ね80%まで進んでいる。注視しているところだ」と事実認定。新施設の正確な位置関係は明かしていないが、韓国メディアは北朝鮮北西部の平安北道鉄山郡だと報じている。

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