今季からJ2リーグを戦うアルビレックス新潟は4月22日の大宮アルディージャ戦に0−1で敗れ4連敗、勝ち点11の14位となり、首位との勝ち点差は11にまで開いた。一年での『J1復帰』を目指した2018年シーズンだったが、ここまで既に5敗、勝ち星から見放されて1か月になる。ただ、狂った歯車はそう簡単に戻りそうもない。
■気持ちの伝わらなかったホームでの戦い
連敗脱出を狙ったホーム大宮戦だったが、サポーターの失望がより大きなものとなった。
開始10秒で大宮FW大前にエリア内への侵入を許し、シュートを打たれるという屈辱的なシーンで幕を開けたこの試合、0−1という最少得点差の結果以上に内容は惨敗だった。
大宮が新潟ゴールに浴びせたシュートは14本にも及び、フリーで打たれたものも少なくなかった。一方の新潟はたったの3本。今季最少となるシュート数が物語るように、前を向く意識がまるで感じられず、他人任せにも見える無意味なパス回しを延々と繰り返した。
この日のゲームを含めここ数試合、縦へのボールが明らかに少なく、あたかも相手ゴールへ進むことを怯えているかの様にも感じられる。一万五千人を超える観衆を集めたこの日、サポーターが叫ぶ『闘え、新潟』という声が選手たちに届くことはなかった。
■失われていく自信、伝わらない気迫
ピッチ上の選手の問題だけに留まらない。
ベンチワークにも疑問を抱く場面がシーズン当初から目についた。
第2節のホーム・松本山雅戦、序盤から新潟がボールを支配し、前半終了間際に矢野貴章のゴールで先制。その後も攻勢が続くも、後半に入り松本山雅の選手交代をきっかけに一気に形勢は逆転、相手のポジション変更に翻弄され終盤に同点ゴールを許した。圧力をかけゴールに迫る松本に対し、後手後手となっていた選手たちに新潟ベンチから的確な指示が出ていたとは思えない程、あまりにも脆く崩れていったゲームだった。
また、4連敗の始まりとなった1日のロアッソ熊本戦、開幕から続けてきた4−4−2のフォーメーションから3−5−2への変更を試みる。翌節のファジアーノ岡山戦にも同じ陣形で敗れると、次の栃木SC戦では再び4−4−2へ。新システムを僅か2試合であきらめたともとれるが、それまでのシステムへ戻してもチームの勢いは大きく失われ、唐突とも思えた戦術変更が大いに悔やまれる。果たして今季からチームを率いる鈴木政一監督はどのようなビジョンを描いていたのだろうか。
22日の大宮戦後、鈴木監督は会見において「負けが多すぎる。」と語り、その表情は苦悶に満ちているようにも見えた。
選手、スタッフを含め、チームから自信が失われていることが一番の問題かもしれない。だが、試合はすぐにやってくる。次戦は現在3位のレノファ山口戦。死にもの狂いで連敗を止めるか、それとも、何も変わることなく屈するのか。
闘志無きものは去るしかない。(佐藤文孝)