笠松競馬所属時代には、あのオグリキャップの主戦ジョッキーを務め、2003年3月1日に正式に中央デビューしてすぐ、GI高松宮記念をビリーヴで制覇。翌'04年にはキングカメハメハで日本ダービーを勝ち、“アンカツ”の名を全国に知らしめた。これまでに中央通算1111勝、うちGIレース22勝を挙げている。
1月30日、滋賀県の栗東トレーニングセンターで行った会見では、引退を決断した理由について「納得いく騎乗ができなくなった」と語った。昨年11月24日の京阪杯(パドトロワで15着)を最後に手綱を執っていなかったので、近いうちにと囁かれていたが…。
37年にわたる騎手人生の思い出は、「やはり、ビリーヴで勝った高松宮記念。それと、馬でいえばキングカメハメハとダイワスカーレットも印象に残っています」と振り返った。
ファンからは、こんな惜しむ声が聞かれた。
「今年デビュー予定の2歳馬の中に、父キングカメハメハ、母ダイワスカーレットの牝馬がいます。絶対にアンカツさんに乗ってほしかったのですが…」
安藤騎手も、その思いはきっとあったはず。しかし、それをスパッと断ち切るところが、超一流といわれる由縁であろう。そんな安藤騎手が本誌だけに、特別に胸中を語ってくれた。
「派手なことが好きじゃないので、記者会見も引退式も何もやらず、消えるように静かに去って行きたかった。去年のうちに『もう乗らない』って決めていたので、引退レースも断った。もともと調教師になる気はなかったけど、今活躍している須貝師を見るにつけ、あらためてその意を強くした。彼はすごく営業熱心で、いろんな人に気配りができる。不器用な俺には、そんなマネは無理だもの(笑)」
引退した後は「具体的なプランはすぐにはないけど、大好きな競馬には携わりたい」と、地方、中央、そして“第3ステージ”への意欲をにじませた。
それが何であるのか、楽しみに待ちたい。