太平洋では、6月末から台風の発生が相次いでいる。6月30日の9号、7月2日の10号、そして11号と、一時は日本の南海上に同時に3つの台風が乱立。このような状況は'13年10月以来2年ぶりのことで、梅雨時期に限っていえば13年ぶりのことだ。
この時期に台風が多発した理由について、気象庁はこう説明している。
「インド洋から西太平洋にかけて台風を発達させるのに十分な積乱雲の群れができた上、エルニーニョ現象で海水温が平年よりも4℃ほど高い。そのためマリアナ諸島で台風が急速に発達した」
'02年には台風6号が房総半島に上陸して、中部から東北地方で大雨となり、死者・行方不明者7人、住宅の全半壊も合わせて50棟の被害が出ている。
ジャーナリストの村上和巳氏が警鐘を鳴らす。
「台風は太平洋高気圧の縁に沿って移動します。通常はこの高気圧が強いため、台風は発生しても中国大陸に向かうのですが、現在は高気圧の張り出しが弱いために外郭に沿って移動し、勢力の大きいまま日本列島を直撃する恐れもある。南の海上で相次いで台風が発生すれば、それらが日本列島を連続直撃することも考えられるのです」
昨今は台風の巨大化も警戒されているが、こうした“台風集団”が連続して列島を襲えば大きな被害をもたらすことは間違いない。
「去年7月に発生した台風8号も猛烈な勢力に成長し、宮古島接近時の中心気圧は930hPaで、最大瞬間風速も50メートルを記録。沖縄本島では、台風を理由とするものとしては初の『特別警報』が発令されたほどでした。しかし、今の時期の台風はさらに注意が必要です。というのも、本州付近に梅雨前線が停滞し、これに湿った空気が流れ込むため、長時間の大雨になる可能性があるからです」(サイエンスライター)
すでに九州地方では長雨によって地盤が緩んでいるため、台風の速度が遅い場合は各地で土砂災害の危険が高まる。
「9月の台風シーズンになれば、さらに大型の台風が続々上陸する可能性も否定できません」(前出・村上氏)
今年の台風は要警戒だ。