父・白石一典厩務員(美浦・郷原厩舎)は、元障害騎手。今年1月、馬房で馬に顔を蹴られる事故に遭い、現在は療養中という。蛙(かえる)の子は蛙。父の背中を見て育った白石さんが、この世界に入ったのも自然の成り行きだった。
「小学校5年のとき(美浦トレセン内の)乗馬苑に入り、高校の時は馬術部でした」。競馬学校を卒業して、最初に所属したのが現在の清水美厩舎。「今年で18年目になります。最初は持ち乗りを1年半、次に助手を6年半やりました」
再び持ち乗り(調教厩務員)になって10年目に、千載一遇のチャンスがめぐってきた。「ほら、見てくださいよ。銭型の斑点が出ているでしょう。状態はどの馬にも負けませんよ」と、白石さんは盛んに腕を撫す。
「新潟は4戦3勝。2着1回は、オウケンブルースリ(後の菊花賞馬)に負けた阿賀野川特別で、新潟は大得意(笑)。新潟記念に向けて、何としても賞金(最低でも2着)を加算したい」と、不退転の決意で挑む。
実績から、唯一のGI馬シャドウゲイト(ハンデ57.5キロ)、2連覇を狙うミヤビランベリ(同57キロ)が強敵だが、秘策はある。
「道中脚をためて、直線叩き合いに持ち込めれば、ハンデ54キロがモノをいうはず。蛯名さん(騎手)も手の内に入れているし、チャンスは十分あると信じてます」