この覆った事実から二つの想像が頭に浮かぶ。まずは2人の男性(例えば既婚同性愛者)の一方が通常の細胞、もう1人が精子をそれぞれ提供して子供を作ることが可能になるということ。さらに1人の男性が自分の細胞と精子を使って子供を持つ可能性だ。この場合、子どもはクローンよりも一卵性でない双子に近いが、端的に言って“自分で自分を育てる”ことができるかもしれない。子孫を残すという行為において、女性やメスが要らないわけだ。
一方、2007年に東京農大の河野友宏教授(動物発生工学)は、《精子なしで卵子だけを使って40%以上の高い確率で子マウスを誕生させることに世界で初めて成功した》と発表している。こちらはオスが要らない研究だ。
「これは生殖にオスを必要としない『単為発生』と呼ばれる技術で、雌雄を決定する精子が関わらないため、メスのマウスしか誕生しません。河野教授らは'04年に、哺乳類で世界初となる単為発生マウス『かぐや』を誕生させたと公表しています」(サイエンスライター)
この研究は遺伝子改変を伴うため、人間には直ちに応用できないという。河野教授も《人間への応用は全く考えていない》とコメントしている。
「とはいえ、マウスの体外受精に匹敵する高い確率で子マウスを誕生させたことで、男性なしでも人類が子孫を残していけるという可能性が現実味を増したという報道が流布し、当時は世の男性に対するインパクトは大でしたね」(同)
男は女を、女は男を必要としない…。研究の行きつく先は、アダムとイブが神の創造物であることの証明になるのかもしれない。