同社の株主総会が東京・両国国技館で開かれたのは6月23日のことだった。
その際、決算短信には《次期の当社グループを取り巻く環境はより一層厳しい状態になるものと懸念されます》と書かれ、好材料はゼロを強調していた。
だが、2日後の25日、アミューズはいきなりサザンオールスターズ再結成のニュースを流したのだ。同時にアミューズ所属の吉高由里子がNHKの来年前半の朝のテレビ小説『花子とアン』に主演することも明らかにされ、同社の株価はいっきに急騰した。一時は271円高(12.4%)の2449円で寄り付いた。
たしかにサザンの再結成の影響力は大きい。'08年に活動休止を発表した際、株価は225円安の1795円まで下がったからだ。
それにしても、サザンは今回どれだけの利益をもたらすのか
「いずれも推定ですが、日産スタジアムが単独で6億円など、5カ所のコンサートで20億円は稼ぐはず。さらに、フォルクスワーゲンなどCMが推定1億円。そして、新曲『ピースとハイライト』もある。CD不況の時代なのでミリオンとはいかないが、ファン数から予想して20万枚は最低売れると読んでいい。ダウンロード分も合わせると、かなりの額になるはず」(株式アナリスト)
サザンの再結成を知っていたなら、株主総会前に大量に仕込み、上がった段階で売りぬける手法で儲けることも可能だった。
「今回は、外部に漏れても仕方がない状況でしょう。CD販売に関しては、ディレクターはもとより、ジャケット制作者などのJVCケンウッド関係者は情報を知っていて当然。CM制作者も同様だし、内部のツアー担当者も然りです。アミューズとしては、売り抜けなどの違法行為がないように厳重に関係各方面に目を光らせていたと思われます」(業界関係者)
サザン景気のせいで、アミューズはしばらくの間“要注意株”となりそうだ。