同番組は、昨年10月からスタートし毎月最終木曜日に月1回放送されている生放送番組。今年3月から7月までは企画『アイドルだらけの歌謡祭』が中心の構成で、70年代以降に一世を風靡した、石井明美、大西結花、風見しんごら、かつてのアイドル歌手たちが登場。今年8月に行われた公開収録のイベントも大盛況だったようだ。
この番組で企画を担っているのは、AKB48グループなどのプロデュースで知られる秋元康氏。往年のアイドルのリバイバルに成功した番組が、今度は“一発屋”と呼ばれる芸人の再生に乗り出した。
8月から同番組の中心となった企画は、過去に一世を風靡した芸人が新作ネタを披露する「レジェンド芸人“再ブレイクを狙う!”ネタ祭り」。その芸人の全盛期を知らない若い世代に魅力を伝え、さらに新作ネタで再ブレイクのきっかけを与えようという意図が見える。登場する芸人は、過去の鉄板ネタと今のネタの両方をスタジオで披露。どちらが面白かったかを、スタジオの番組MC・NGT48の中井りかを含む「フォンデュガール」9名が「超えた!」「超えてない」の札を上げて判定する。出演芸人のブレイク時の記憶がない若い世代が、ネタを楽しみながら芸人の成長を判断しているのだ。
第2回目となる先月27日に出演した芸人は、チャイム(赤プル、元赤いプルトニウムが結成したコンビ)、AMEMIYA、クマムシ、天津・木村卓寛、ピスタチオ、藤崎マーケット、モンスターエンジンの7組。いずれもネタ番組の全盛期にブレイクした面々だ。新作ネタはどの組も工夫を凝らしたもので「超えた!」判定が続出。そんな中、藤崎マーケットだけが鉄板ネタ「ラララライ体操」を超えられず、同じく「神々の遊び」を披露したモンスターエンジンも「超えた!」判定が出たものの苦戦を強いられた。両コンビともに新ネタとしてスタンダードな漫才を披露したが、逆に鉄板ネタの色あせないインパクトを感じさせる結果となったようだ。
出演した7組の新作ネタで爪痕を残したのは天津・木村だろう。木村と言えば、下ネタで詩吟を披露する“エロ詩吟”で『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)など数多くのネタ番組に出演。2009年の「新語・流行語大賞」にノミネートされるなど時代の顔となった芸人だ。この日、木村が番組で見せた新作ネタは“エロ詩吟”にモノマネを取り入れたものだった。サングラスをして井上陽水のモノマネをしながら、「彼女の運転でドライブに行ってぇ〜 やたらと川沿いを走られたらぁ〜 なんだかリバーサイドホテル行けそうな気がするぅ〜♪」と吟じて爆笑を起こした。この他にも玉置浩二や発明家のトーマス・エジソンに扮しながら下ネタを吟じるという、シュールでありながら元ネタを食う見事なアレンジを披露し、最も多くの得票数を稼いだ。
木村と並んで最多得票数を獲得したクマムシも「あったかいんだからぁ」の歌ネタをアレンジした新作だった。鉄板ネタを持つ芸人の再起は、元ネタをどう活かすかにかかっているのかもしれない。今後、本当に再ブレイクを果たすのはどの芸人なのだろうか。番組に出演した芸人の動向にも注目していきたい。