先祖代々の墓にしろ、新たに墓を購入するにしろ、あとあと、その墓を守ってくれる人がいなければ、ゆくゆくは無縁墓になってしまいます。
子どもがいなかったり、いても、非婚化や核家族化が進むなかで、その承継を頼めなかったりして、現代は墓の維持が難しい時代になってきました。寺のいわゆる檀家制度が煩わしいと考える人も少なくありません。
そこで、ここ数年、注目を集めているのが「永代供養墓」です。これなら、後継ぎがいなくても、管理する寺、霊園側で供養してくれるのです。
寺や霊園によって、形式に違いがありますが、「永代供養墓」の多くは、納骨室を他の人と一緒に使用する「合祀」と呼ばれるものになります。
ただ、「他の人と一緒は好まない」という人もいるでしょう。そういった人向けに、個人墓、夫婦墓、集合墓、家族墓といったものがあります。これらには、使用期間が設けられており、「13年後合祀」「33年後合祀」といった具合で、なかには「1年後合祀」「7年後合祀」と期間が短いものもあります。
この場合は一般の墓と同じようにお墓参りもでき、夫婦墓や家族墓であれば、最後の承継者が亡くなってから、○年後に合祀されることになります。
気になる料金(永代使用料+墓地使用料)ですが、墓石代がかからないため、一般の墓より格安。霊園や合祀までの期間によって、まちまちですが、30〜50万円くらいが相場。家族墓で33年後合祀の場合だと、150万円〜200万円くらいで、彫刻料が別途必要になるケースがある。
ほとんどの「永代供養墓」は宗教宗派が不問だが、まれに檀家になることや、管理する寺の宗派に帰依することを求められる場合があるため、契約時に注意が必要。
東京都内で墓地を販売しているI社の広報担当によると、「将来、自分だけ、夫婦だけ、家族だけの墓に入りたいとお考えの方は多いです。しかし、現実として承継者がいない場合は、いずれ無縁墓になってしまうため、『永代供養墓』の需要が近年高まっています。ただ、『永代供養墓』はまだ絶対数が少ないため、完売してしまう霊園もあります。一般の墓と違って、ある程度、広範囲で探す必要があると思われます」と話す。
墓を承継する家族がいない人は、「永代供養墓」の購入を検討してみるのもいいだろう。
(山本 生道)