狙うは頂点しかない。今春の桜花賞、オークスではブエナビスタとレッドディザイアに続く3着に善戦したものの、強力2騎を前にして影の薄い存在となったジェルミナル。だからこそ、この秋は逆転に燃えている。
「春も安定した走りを見せてくれた。それもこの馬のセンスがあればこそ。3歳牝馬の中でもトップクラスの器用さがある」。田代助手が語るように、オークス、桜花賞では立ち回りの上手さをいかんなく発揮した。
ソツのない競馬、それがこの馬の真骨頂だ。しかしそれだけでは2強にはかなわない。ひと夏を越えて、そんな器用さに加えてたくましさが増したという。春にはきゃしゃに映った馬体が、今はひと回り大きくパワーアップしている。
「もともと春の時点でも順調に使えたように丈夫な馬だけど、この秋はさらに背丈が伸びて、大人びてきた」
少女から大人の女へ。フィジカル面で一段と成長しパワーアップした今なら、打倒2強も夢ではない。
「あの2頭は強い。その差を秋になってどこまで詰められているか。今回、ブエナビスタはいないけど、本番につながるいいレースを期待したい」と藤原助手はうなずいた。
本気でヒロインの座へ…まずはここでレッドディザイアを倒して、女王ブエナビスタへの挑戦権を手にしてみせる。
【最終追いVTR】坂路で福永騎手を背に単走で追い切られた。前半からスピード感満点の走りで、800メートル51秒9→37秒9→12秒8をマーク。ゴール前で鞍上からムチが叩き込まれるとしぶとく伸びた。このひと追いで態勢は整った。