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“ウサギ小屋”に出張族が殺到! 不況をビジネスチャンスにしたビジネスホテル

 世の不況は改善の兆しもなく、多くのサラリーマンも自営業者も、慎ましい生活を強いられる昨今。その不景気を逆利用して、飛躍するホテルチェーンがある。

 アパホテルといえば、ご存じの方も多いだろう。07年には耐震強度偽装で話題となった、女社長のユニークなCMで有名な、あのホテルである。
 同ホテルは徹底した“薄利多売”戦略。特定の店舗を除き、室内は極狭で、とてもゆっくり休んでというわけにもいかない。一部屋のスペースを狭くすることで、できるだけ多くの部屋数を確保するのが、このホテルのやり方。

 そんな狭いホテルに好んで宿泊する人はいないだろう。しかし、今や北は札幌から、南は那覇まで、約80軒を展開する大型ホテルチェーンへと成長を遂げた要因は何だったのか?
 アパホテルでは東京都内、大阪、名古屋の大都市圏や、ブランド観光地の軽井沢などを除けば、1泊5000円前後という格安な料金設定になっている。特筆すべきは、札幌、仙台、福岡といった地方都市の店舗でも、1泊4000円台のものもあり、懐の寒い出張族や旅行者の心を揺さぶっている。

 月の半分は出張で全国を飛び回っているという中小企業のサラリーマンA氏(45歳)は、「以前は8000円程度まで、宿泊費が認められていました。でも、不況の煽りで、経理から宿泊費の節減を厳命されています。その点、アパホテルは場所にもよりますが、1泊5000円程度で泊まれます。狭くても、背に腹は変えられません。それに、駅や繁華街に近いのも魅力です。タクシー代を使う必要がありませんから」と言う。

 どんなに狭くても、安さや交通至便なところが、同ホテルの魅力だというのだ。
 「アパホテルの躍進は時代背景にうまく合った点です。この不景気ですから、どこの企業も出張費は節約せざるを得ません。ただ、それだけではありません。新しい店舗が多いため、室内はきれい。アクセスがいいことも重要だし、ほとんどの店舗で、日本人が大好きな大浴場を設置しています。ビジネスホテルで、大浴場があるところはほとんどありませんから、それも大きな魅力になっているようです」(某経済評論家)。

 狭いホテルに望んで泊まる人はどこにも、いないだろうが、世の不景気が続く限り、出張族は“ウサギ小屋”に駆け込むことになるのだろうし、アパホテルの成長も止まらないようだ。
(ジャーナリスト/落合 一郎)

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