ここまでドラスティックに動く背景には、運営会社のダスキン(大阪府吹田市)の足をミスドが引っ張っているからだ。先頃、ダスキンが発表した2016年9月中間連結決算は前年同期比1.7%減、営業利益は前期比6.2%減だった。好調な清掃関連事業が増収増益となったのに対し、それを打ち消してしまうほどミスドの不振は深刻だ。
ここ数年、ミスドを取り巻く環境は劇的に変化した。10年前の'06年12月に『クリスピークリームドーナツ』が行列のできるドーナツ屋として米国から日本上陸を果たすと、あっという間にライバルブランドとして成長。'14年11月にはセブンイレブンの仕掛けた“コンビニドーナツ”がローソン、ファミリーマートを巻き込んで、互いにしのぎを削る商材になった。
日本で40年以上にわたり展開してきたミスドは、この一気に増加した競合店に対し「ドーナツを食べる頻度が向上することで、より親しまれる効果が大きい」としてきた。しかし、結果として売り上げの減少基調に歯止めがかからず、ここにきてようやく重い腰を上げた格好だ。
かつてデフレの象徴とまで言われた牛丼価格競争のように“ドーナツ戦争”も激化していくのだろうか。
「今はコンビニドーナツに新発売当初のような勢いはなく、価格競争を挑む状況でもありません。今の消費者は目が肥えているため、安くても“悪かろう”では飛び付かない。ミスドも100円セールのときにしか売れなかったというのは、それが適正価格だからとも言えるでしょう」(外食産業専門紙記者)
値下がりした分、ついつい余計に買って食べてしまいそうだが…。