CLOSE
トップ > スポーツ > 野球が五輪種目へ復活できるかの試金石 プレミア12の裏に潜む政治的綱引き

野球が五輪種目へ復活できるかの試金石 プレミア12の裏に潜む政治的綱引き

 世界の12の国と地域によって、今年11月に開催される野球国際大会『第1回WBSCプレミア12』の予選グループ分け、開幕カードなどが5月12日に発表された。台湾との共催となっているが、開幕戦と準決勝、決勝戦は日本で行われる。大会の成否は日本で行う試合の観客動員力に掛かっているといっても過言ではないだろう。
 「プレミア12も4年に1度、WBCの中間年に開催していく予定です。11月に始まるこの第1回大会が成功すれば、次大会は東京五輪の予選という位置づけになるかもしれない」(NPB関係者)

 WBSC(世界野球ソフトボール協会)のリカルド・フラッカリ会長は「私見だが」と前置きしつつも、「次大会は東京五輪の予選にしたい」と発言している。なぜならば、プレミア12が創設された理由はに、オリンピックが影響しているからだ。
 五輪競技から野球が除外されたことにより、国際野球連盟(IBAF)は国際ソフトボール連盟(ISF)とスクラムを組み、WBSCと体制を新しくして、五輪復帰を目指している。2020年の東京大会からは、開催都市が種目を追加できることになった。野球ファンの多い日本が開催地となれば、またのない好機である。フラッカリ会長の「東京五輪の予選に…」発言は、まだ決定しない追加競技が野球とソフトボールに決まるのであれば、協力を惜しまないというメッセージでもあったのだ。しかし、東京五輪実行委員会は何も返答していない。
 「追加競技を決める方法は2つ。開催都市の独断か、IOCにお伺いを立てるかです。東京五輪の実行委員会は後者を選んでいるため、欧州圏で競技者人口の少ない野球とソフトボールは劣勢になりました。現在、追加競技に立候補している各スポーツ種目のなかで、競技者人口と世界的普及率で有利なのは空手。自民党の有力者である荒川堯氏は全日本空手道連盟の会長であり、昨年6月に空手を応援する議員連盟も発足しています。菅義偉官房長官もそこへ名を連ねています」(JOC関係者)

 野球とソフトボールが熱心なピーアール活動を行っても、東京都や実行委員会の反応がいまいちなのは“政治的事情”も影響していたのだろう。NPBの立場から見れば、侍ジャパンで収益を上げるためにもプレミア12を盛り上げなければならない。そのためには日本の決勝進出が最低条件となる。
 「プレミア12の結果次第では、小久保(裕紀=43)監督の進退問題にも発展しかねません。契約は第4回WBCまでだが、今年3月に行った欧州代表との試合内容は悪すぎました。外国人投手特有の動くボールに対応できず、この課題は就任以来解消できていません」(ベテラン記者)

 フラッカリ会長の発言に無反応な東京五輪実行委員会の今後の出方も気になるが、小久保監督の双肩には東京五輪で野球とソフトボールが復活するという夢もかかっている。
 「再来年、2024年五輪の開催都市が決まります。すでに立候補を表明しているアメリカのボストンでは追加競技を独断する方向性も示しており、早くも『アメフトが最有力』との情報も流れています。東京大会よりも先に追加競技が発表されることになれば、野球とソフトボールはさらに不利な立場に…」(米特派記者)

 ただの新たな国際大会を主催する、というわけにはいかないようだ。

スポーツ→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

スポーツ→

もっと見る→

注目タグ