一連の背景を、政治部ベテラン記者が分析、解説する。
「新党に動き出したのは、前原誠司元民主党代表、細野豪志元民主党幹事長、そして維新の会の江田憲司前代表と、ひと癖もふた癖もある連中。そもそもこの動きは、9月に安倍政権が集団的自衛権行使を容認する安保法案を強行採決後、共産党が来年の参院選に向けて共闘し『国民連合政府』を作ろうではないかと、民主党などに呼びかけたことに始まる」
共産党は、野党がバラバラで候補者擁立が互いを食い合い、自公の一強多弱状態を生んでいるという論だ。
確かに、'14年衆院選の各党の比例得票数がそれを如実に物語っている。自民党が約1765万票で、自公併せて約2497万票。一方で、対立する民主、維新、共産、社民、生活の党の総得票数は約2655万票と与党を上回っているが、それでいて自公に3分2の議席を奪われている。これに対抗すべく「安保法案反対の国民連合政権創設前提の選挙協力が必要」という、共産党の主張が出てきたわけだ。
「この論に岡田克也民主党代表は9月、共産党の志位和夫委員長と会談。志位氏は、“連合政権が誕生すればトップは民主党に譲る”とまで言及した。となると、野党が勝てば“岡田首相”の芽も出てくる。そのため岡田氏は、表向き連合政権を否定するものの選挙協力ににじり寄っていたと言われているのです」(同)
一方で、この動きに危機感を抱き動いたのが新党首謀者たち。11月11日、前原、細野、江田の各氏が都内ホテルで急遽会談し、新党立ち上げで合意したのだ。
前原氏側近の一人がこう息巻く。
「新党を立ち上げれば、100人ほどの一大勢力になる可能性がある。何より、前原氏とは肝胆相照らす仲で会食や電話で話している橋下徹大阪市長も加わる可能性も高いでしょう」
「100人」の根拠はこうだ。前原氏の凌雲会グループは安住淳元財務大臣など15名。細野グループ(自誓会)は黄川田徹元復興副大臣など13名。江田グループは松野頼久維新の党代表ら26名。他に野田佳彦元首相の花斉会グループが約10名。日本を元気にする会の松田公久グループ、元みんなの党の浅尾慶一郎元代表、そして橋下徹大阪市長−−。