A:胃で消化されている途中の食物が食道に逆流すると、胃酸も一緒に逆流します。胃酸は強酸性ですから、食道を刺激します。そのため食道の粘膜が炎症を起こし、ただれます。
ひどい場合は、潰瘍に進みます。それが逆流性食道炎です。ご質問の方は逆流性食道炎の疑いは否定できないので、この病気であると仮定して話を進めます。
食道には、下部食道括約筋など食道を逆流から守る仕組みがありますが、それが弱くなると、胃の中のものが逆流しやすくなります。
逆流性食道炎になると、胸焼けだけでなく喉のイガイガも起きるし、高齢の人の場合は慢性的に咳が出ることもあります。
逆流性食道炎は、もともと日本人には少ない病気でしたが、食生活の欧米化や人口の高齢化によって患者さんが増えてきました。
食生活では脂肪やたんぱく質の摂り過ぎがよくないと考えられています。肉や脂肪の摂り過ぎは逆流から食道を守る仕組みを弱めます。たんぱく質の多い食事は、消化に時間がかかり、胃の中に長くあるため、胃液の逆流が起こりやすくなります。
●まず食生活の改善を
食べ過ぎや肥満もよくないといわれます。また、高齢の人に多いのは、加齢によってこの仕組みが弱くなることも関係しています。姿勢も関係し、背中が曲がると起こりやすくなります。
ご質問の方は、肉や脂っぽい食事が好きでよく食べるとのことですが、まず食生活を改めるとよいでしょう。野菜や豆類、海藻、魚などが多い、和風の食事を心がけてください。
太っているなら、食べる量を減らし、ダイエットする必要があります。お酒も控えたほうがよいでしょう。お酒やタバコは食道の粘膜を刺激します。
このように生活習慣を変えることで、症状はきっと軽くなるはずです。そのことを自覚し、この病気とうまく折り合っていってください。
なお、すぐに効果が出る方法としては、少しマクラを高くして寝るようお勧めします。この体勢なら胃液が逆流しないからです。
今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。フットケアにも精通している。