同日、金子は日米野球を終えて帰阪した。空港で記者団に囲まれ、去就について質問されると、「それをこれから考える」と返すだけ。“時の人”となり、金子のマスコミ嫌いと口ベタもクローズアップされたが、米メディアは「あんな調子ではメジャーリーグでやっていけない」と苦言を呈していた。
しかし、瀬戸山隆三球団本部長はこう対応してくれた。「できたら、今年のうちに…」。残留交渉を年内に行うと明言したのだ。
「金子はマスコミ嫌いだが、ウソは付かない。米挑戦の確固たる信念が感じられないので、本当に決めかねているのでは」(在阪記者)
金子争奪戦から巨人がリタイアし、ソフトバンクは一歩引いて“様子見”している。国内では、本命中日、対抗楽天、大穴が阪神といったところだろうか。
「金子は中日の地元財界でもある社会人トヨタの出身で、当時の同僚である吉見もいます。落合GMは『FAは選手の当然の権利』とし、2、3年後に米挑戦で退団してしまう選手でも認めるとの考えを持っています。中日が本命に躍り出たのは、そういった理由からです」(同)
しかし、中日が頼りとする“地元ルート”は機能しないかもしれない。
「地元財界の全てが落合GMに加勢するとは限りません。トヨタルートには楽天の星野仙一シニアアドバイザーと親密な者も多い。星野氏はそのパイプを使って動き出すタイミングを見計らっています」(関係者)
一方、阪神は金子がオリックスに入団したときの担当、熊野輝光スカウトを引き入れている。それ以外は特に何も伝えられていなかったが、ここにきて一発逆転の可能性が高まってきた。
「11月19日、中村勝広GMが金子の代理人と会っています。かなり突っ込んだ情報を得ることに成功したのです」(チーム関係者)
金子は12月中に国内球団との直接交渉に応じる予定。金子が何を求めてFAを行使したのか、それを知っているのは今のところ阪神だけだ。
「日米野球の序盤、日本の投手の大半は『国際球の違和感』を口にしていました。金子もその一人です。本当に米移籍の準備をしているのか疑問です」(スポーツライター・飯山満氏)
メジャーリーグ公式サイト『MLB.com』の注目FA投手欄に金子の名前はない。オリックスが提示した残留条件は3年15億円だが、注目されるのが苦手な金子にとっては、残留が最良の選択かもしれない。