「ロッカールームに眠る僕の知らない戦争」は、ドストエフスキーの『罪と罰』を安保の時代に置き換え、理想と現実の間で揺れた若者たちを描いた、切なくもはかない青春群像劇。同ホールにて、13日まで。
学生運動のまっただ中に大学生となった主人公を演じる畑中は、役作りをしながら、安保闘争当時の「個の意志のエネルギー」の強さを感じたことを語った。主人公の青年の心情と、周囲の人間との関係の変化を演じ切ることができれば「うまくいく」と自信をのぞかせた。
「思想にまっすぐ」なヒロイン・純子を演じるのは、女優としての活躍が注目を集めている横山ルリカ。「安保」など馴染みがない単語を「自分の言葉にして言うところが大変だったのですけれど、そこが見所です」。また現在は、熱血なヒロインに成りきっていることを紹介し、劇中では、横山が自らシャツのボタンを一つ、一つ、外していく場面も。
また、今作注目の相楽樹は、主人公の妹を演じ、初舞台。台本を読んだ時は心情などにとまどったというが、畑中らに助言をもらい、「自分の心から出る言葉になりました」と笑顔を見せた。また、緊張はあるが実際に舞台に立ってしまえば「大丈夫だなと思えます」と語り、初舞台ですでに度胸が備わっている様子。
相楽は「けいこ前の自分よりも、一歩成長できた姿を皆さんに目の前でお見せすることができるのではと思います」、横山は「自分で考えた純子が演じられるようにがんばります」と本番を迎える意気込みを語った。畑中が、「僕たちも楽しみながら、お客様にも楽しんで頂けるように、最後まで一生懸命、舞台を駆け抜けていきたいと思います」とメッセージを送った。(竹内みちまろ)