「早熟とかいろいろいわれているけど、僕は決してそうじゃないと思っている。それをここできっちり証明したい。だからこそ、恥ずかしい競馬はできない」
決意ともいえる強い気持ちで指揮官は愛馬の再生を誓う。
不振の原因となったのが菊花賞での激走だった。3000m戦で5着に善戦したが、レース後の消耗は陣営の予想をはるかに超えるものだった。疲れがなかなか抜け切らず、立ち直らせるのに半年以上の時間を費やした。
「一時はケイコでもやる気をなくしていたが、最近は気持ちが入っている。1週前追いでも馬なりで好時計が出たし、ようやく体調が完全に戻ったよ」
その1週前追いは栗東DWコースで6F83秒5、ラスト1Fを11秒4でまとめた。朝日杯FS(1着)当時を思わせるビュッとしなるような切れ味…馬自身は立ち直った。
この状態面とともに強調材料がもうひとつある。それが小倉芝2000mのコース形態だ。
「(武)豊君はコーナーが4つある方が乗りやすいというんだ。確かに神戸新聞杯もすごく強かったからね。小倉の二千もコーナーは4つ。今度は条件的にもいいと思うよ」
不運にも武豊騎手は騎乗停止のため、屋根は池添騎手にスイッチされたが、安田記念に騎乗したことで当馬の癖は手の内に入れている。復活の舞台は整った。あとは強い気持ちで戦うだけだ。