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『富士フィルム』が映画フィルム製造中止で ピンク映画が消える!?

 大蔵映画『肉体の市場』(小林悟監督)が封切られたのは1962年。今年50周年の節目を迎えたピンク映画だが、皮肉なことにここへ来て“国産映画用フィルム消滅”というピンク映画史上最悪の事態が起きている。
 「一般映画ではデジタル撮影が主流ですが、年間36本製作されるピンク映画だけはいまだフィルム撮影がメーン。そこへ9月12日、国内で唯一映画用フィルムを生産していた『富士フイルム』が、需要減少を理由に来年春で製造を終了すると発表したのです。関係者からは“ピンク映画がなくなるのではないか”との不安が駆け巡りました」(映画ライター)

 そもそも、客離れや建物の老朽化による閉館などで、ピンク映画業界は厳しい状況にある。ポルノ界の帝王、俳優の久保新二氏は言う。
 「業界の落ち込みが深刻なのは事実。映画館がどんどん減っているからね。都内には9つのピンク映画館があったけど、9月だけで新宿2館、浅草2館が閉館した。これらは建物の老朽化が原因で仕方ない部分はあるけど、残念だよ」

 '70年代には全国で約1000館あったピンク映画館は、いまや約60館に激減。大半がフィルムで上映している劇場だが、今年3月には日本最大手の映写機製造メーカーが倒産したため、映写機が故障しても修理不可能になっているのだ。

 まさに風前の灯−−。しかし、生き残る方法はまだ残されているという。
 「ビデオプロジェクター上映への切り替えです。ちなみに都内に残るピンク映画館5館のうち、フィルム上映は2館のみで、残り3館はビデオプロジェクターでの上映です。上映用のフィルムをDVDに焼きつけ、それをビデオプロジェクターにかけて再生している。デジタル上映機器の導入は数百万円かかりますが、ビデオプロジェクターであれば数十万円で導入できるため、地方でも切り替える映画館が現れています」(業界関係者)

 少なくともピンク映画の消滅は避けられそうだが、厳しい状況に変わりはない。
 「製作・配給会社の大蔵映画は、来年以降もデジタルカメラで製作を続ける意向があるようだし、ピンク映画自体がなくなることはないと思う。ただ、撮影現場も活気はないし、昔気質の俺たちにとっては寂しいよ。『痴漢電車』や『未亡人下宿』に匹敵する新しい作品が出てくるのを期待したいね」(前出・久保氏)

 往年の輝きを取り戻せるか。

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