テレビの黄金期にあったような、いわゆる“体を張る”番組ではあるが、現在地上波では正月特番で放送される程度。80〜90年代頃まで放送されていた破天荒なバラエティーの企画はほぼ見かけることはなくなった。
「もちろん視聴率が伴っていないというのもあるのですが、いまは何をやってもクレームが起きる時代。テレビ局の関係者は、特にネットの声に戦々恐々としています。どうしても称賛より苦情に過剰反応してしまうようですね」(放送作家)
民放各社が自身を戒めるために、NHKとともに立ち上げた団体『放送倫理・番組向上機構(BPO)』によって、注意を受けることも多かった。『めちゃx2イケてるッ!』(フジテレビ系)の人気コーナー『七人のしりとり侍』は、罰ゲームが「いじめを助長する」と指摘された。岡村はラジオやテレビで「いじめを助長する」という言葉に反応し、「誰もそんなこと思っていない。叩かれる僕らを見ていじめられている子が笑ってくれたらそれでいい」と熱く語っていた。
同時期に放送していた『おネプ!』(テレビ朝日系)では、女性を投げることで下着や肌が露出する『祈願成就! 出張ネプ投げ』があり、そちらも「のぞきを肯定している」との指摘。ほどなく番組自体もなくなってしまった過去を持つ。
また、日本PTA全国協議会が会員に対してアンケートを行った「子どもに見せたくない番組」(現在は廃止)も、バラエティー番組の敵となっていた。前出の『めちゃイケ』、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)、『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ系)などが、毎回上位に上がっていたことを覚えている人も多いだろう。
「アンケートを見たことがあるという人が、テレビ番組で『記入者が番組名を記入するのではなく、もともと番組名が書かれており、それに丸をつけるスタイルだった』と明かしています。さらに、『見せたくない番組』が“ある”と答えた人はわずかな人だったとか…これでは、やりきれませんよね」(お笑いライター)
こうした悔しい思いをしてきたバラエティー番組は、だんだんと「できること」の範囲が狭まり「つまらなくなった」と言われるようになってしまった。しかし、ダウンタウンの松本人志は過去に、笑いは広すぎると逆にやりにくく、狭い範囲でいかに遊ぶかが重要だと語っている。自由度がなくなった地上波のバラエティーから、我々を驚かせてくれるような企画を打ち立てる番組が誕生するのを気長に待ちたい。