「同志社大時代には、19歳4カ月で史上最年少日本代表(当時)に選出。神戸製鋼ラグビー部では主将も務め、'88年度から日本選手権で7連覇を達成し、黄金期を築きました。日本代表としてW杯にも3回出場。巧みなステップと絶妙なパス、加えてその甘いマスクから多くのラグビーファンを魅了したのです」(ラグビー誌記者)
そんな日本ラグビー界の至宝を突如失ったことは、関係者にとって大きな痛手となっている。「ラグビーW杯2019日本大会」が間近に控えているためだ。平尾氏は'12年から同大会の組織委員会の理事に就任し、ラグビー界の顔として期待されていた人物。組織委員会会長の御手洗冨士夫氏も「事務総長特別補佐としても準備運営に深く関わっており、その存在は代え難く大きな痛手」とショックを隠せない。
一方、平尾氏の突然の訃報を受け、「本当に残念。ラグビーにとっては、これから活躍してもらおうとした矢先だった」とコメントしたのは、日本ラグビー協会名誉会長である森喜朗氏。今後は強いリーダーシップで平尾氏の重責を埋めてもらいたいところだが、森氏自身、問題山積の身分。
「紛糾する東京五輪の組織委員会会長も務めていますからね。小池都知事は、11月に予定されていた築地市場の豊洲移転を延期した。築地市場跡地には、都心と選手村の予定地などを結ぶ道路の建設が予定されているが、この延期により工事のスケジュールに遅れが出る可能性も指摘されている。予算の削減を含め、森氏は小池知事との主導権争いに躍起になっており、とてもラグビーどころではない」(全国紙社会部記者)
東京五輪の施設建設を巡っては、当初の予算から4倍も跳ね上がる工事費が判明。小池氏が建設中止を検討したところ、森氏が猛反対の姿勢を見せたため、ゼネコンとの癒着疑惑まで囁かれている。
ミスターラグビーを悲しませることにならなければいいが…。
親族は『平尾誠二を応援してくださった皆さまへ』と題したコメントを発表。
「2019年ワールドカップ(W杯)大会の成功と日本代表の勝利は平尾の夢でした。見届けることができず、本人はさぞや無念であったことと存じます」と語った。
平尾さんは胆管細胞がんを患い闘病していた。合掌。