増本師といえば、“へんこ”で超有名。だが、この日のトレーナーはちょっと違っていた。「こんな大勢が取材に来たら、みんなの迷惑になる」と自ら席を立ち、囲み場所をスタンドの調教師席から、人気のない非常階段へと移動した。丁重に取材陣を扱うことなど、異例中の異例だ。それだけ、愛馬が絶好調ということなのだろう。
そのサンライズマックスは5歳春にしてわずか14戦のキャリア。カイ食い難や脚元の不安等々、苦難の道のりがあったことが暗に示されているが、“小さな巨人”と称された父ステイゴールドが大器晩成型だったように、当馬も今年初戦の小倉大賞典を快勝。「久々でトモの傷腫れなんかもあったけど、意外と前へ行けたし、ああいうレースで結果を出せたのは大きな収穫だった」とトレーナーは納得の表情で振り返った。
中間はひと息入ったものの、坂路とコースを併用して熱心に乗り込まれてきた。
「すごく順調。(昨秋の)毎日王冠当時はイレ込みが激しくてパニックになっていたけど、今は落ち着き十分。坂路に行くときもイヤイヤをすることがなくなったし、体を動かすことにストレスを感じなくなったみたい」とは原田厩務員。
一方、増本師も「今まで走った中では一番いい状態で出走できる」と自身満々。「ビュッと突き放すような派手な勝ち方はせんけど、激戦になったら強いで」とトーンは上がるばかりだ。もちろん、冒頭の2強に対する敬意を表した言葉は、「オレの立場からすると、一応、胸を借りるといっておかないとしょうがないやろ(笑)」。ただの社交辞令だったのはいうまでもない。
ディープスカイ、マツリダゴッホの2強にひと泡吹かせる! 究極の状態に仕上がったサンライズマックスの野望は、今まさに燃えに燃え盛っている。