それではいったい誰が大麻を育て、国内に流通させているのだろうか? 近年、数百株や1000株といった膨大な栽培量で逮捕された事案を見ても、ベトナム人留学生から自称・無職のオジサンまで人種はさまざまだ。
しかし、その裏では“彼ら”が手を引いているケースが増えているようだ。語ってくれたのはその当事者で、半グレ集団のリーダーを務める萩原健二(仮名・41歳)さんである。
「正直な話、僕らを含めた若手アウトロー的な人種の9割は大麻愛好家です。普段は吸わない人間でも、仲間うちでジョイント(紙巻きタバコ状にした大麻)が回ってくれば一服しますし、ごく当たり前のものとして日常に溶け込んでいますね。特に、地下格闘技団体を運営しているグループには、そのチーム名に大麻を表す隠語をつける例さえ増えており、栽培や流通も含めて、地元の大麻文化を完全に担っているのが通例。地元県警は何してるんだって感じですけどね(笑)」
彼らの場合、マンションの一室や一軒家などをまるまる改装した“栽培工場”のほかに、バーや道場などのアジトがあるのがお約束。
その中で、夜な夜な大麻パーティーが開催されているのは想像するまでもなく、彼らの結束を固めるのに一役買っているようだ。
「今どき大麻を持っていないと、キャバ嬢をアフターにも誘えませんからね。テーマパークやフェスには必需品ですし、すでに若者文化にはなくてはならないものなんですよ。それに『大麻はゲートウェイ・ドラッグ(よりハードな薬物使用のきっかけとなる意)になる』なんてよく言われますが、僕たち世代からすればまるで逆。大麻愛好家はナチュラル(自然由来のドラッグ)にしか手を出さず、どこの(半グレ)グループでも、覚醒剤や脱法ハーブをやる者は破門扱いです」
そんな彼らの最新トレンドは大麻リキッド。大麻を液状化させて電子タバコで吸う摂取方法であり、THC(幻覚)成分が濃縮されているため、極めて効き目が強い。
おまけに職質に遭っても警察官の目をごまかせることもあり、今後の流行は間違いないという。