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ソフトバンクvs楽天 親・反トランプで勃発した「野球戦争」

 アメリカ大統領シンパのソフトバンクと反シンパの楽天が、「新野球市場・台湾」をめぐって争奪戦を展開しているという。時に、訪米した安倍首相がトランプ流のゴルフ接待を受けたことで、“野球戦争・番外編”が急展開している――。

 トランプ米大統領との初の首脳会談で、安倍晋三首相は11日(日本時間12日)、フロリダ州パームビーチのゴルフ場2カ所をハシゴし、計27ラウンドを楽しんだ。
 『トランプ・ナショナル・ゴルフクラブ・ジュピター』で、プロゴルファーのアーニー・エルスなどトランプ大統領の友人らと4人で18ホール。その後、『トランプ・インターナショナル・ゴルフクラブ・パームビーチ』に舞台を移し、2人きりで9ホールを回り、親交を深めた。

 このトランプ流接待ゴルフで、日米同盟の重要性や経済協力の強化を通じた「相互利益(ウィンウィン)」を確認したという。
 だが、本誌が注目するのは、プロ野球界への影響だ。実はこのゴルフ会談には、ソフトバンク・孫正義氏と楽天・三木谷浩史氏がターゲットにする“新野球市場・台湾”争奪戦の構図が秘められていたという。

 昨年12月の大統領選直後、トランプ大統領に真っ先に急接近したのが孫社長だった。単独での面会を果たすと、その場で500億ドル(約5兆6000億円)の対米投資と5万人の雇用を創出すると約束。その後、8000人の新規雇用を打ち出し、トランプ氏は「マサ(孫社長)に感謝する」と賛辞を送った。
 「これは、ソフトバンク傘下の米携帯電話スプリント社を通じて5000人の雇用を創出し、さらにシャープを買収した台湾の巨大企業・鴻海精密工業と組んで投資し、米アップルの液晶の生産力を拡大するというプランです。鴻海はFoxconnブランドでアップルの製品製造を受託しています。孫社長はiPhoneを通じて鴻海との連携を密にすることで、米国内に雇用を創出し、トランプ政権を側面支援するようです。背景にあるのが、台湾での業務拡大。それには宣伝塔となるソフトバンクホークスの台湾での人気アップが手っ取り早くて効果的です。鴻海との連携は、そのためと言われています」(一般紙の経済部記者)

 日本のプロ野球はいま、台湾で人気が年々うなぎ上りだという。これは、パ・リーグ6球団の合弁会社がFOXスポーツ台湾と放映権契約を結び、テレビ放映してきた成果である。
 「中でも、親会社・楽天がいち早く台湾で業務展開している楽天イーグルスは、相乗効果により人気が高い。昨オフ、結果的に巨人に奪われたものの、日本ハムからFA宣言した陽岱鋼の獲得に乗り出したのも、台湾市場を見越してのこと」(スポーツジャーナリスト)

 話を戻すと、その楽天に、ネットショッピングも手掛けるソフトバンクが一気に畳みかけるという構図なのだ。トランプ大統領は「一つの中国」政策に一応は認めたが、台湾独立を支持していた。その台湾財界に強い影響力を持つのが鴻海で、孫氏は同社と連合することで台湾のネット関連事業を制する考えだという。
 一方、ハーバード大学大学院でMBAを取得しているリベラル派の三木谷氏は、グーグルやニューヨーク・タイムズなどの先鋭的経営者と同様、難民や移民の入国を制限する大統領令を非難したことで知られている。1月30日に自身のツイッターでは「今、米国で起こっていることは寂しすぎる。特定の宗教、特定の国だけを差別的に一律排他することがあっていいのか?」「アメリカに大感謝しているけど、これは許されないと思う」と発信。孫氏とは対極の動きを見せていた。

 もっとも、今回の安倍首相のゴルフ外交に警戒心を強めた中国の習近平国家主席は、首相が会談前にトランプ大統領と初めて電話会談を行っている。中国本土と台湾は不可分とする中国に対し、大統領は前述したように「一つの中国政策を尊重する」と述べた。台湾独立支持を翻し、突然の方向転換を見せたのだ。
 中国の電子取引大手アリババの株式を27%保有するソフトバンクにとっては、これも想定内だったのか、「米球界進出」を目指すという情報もある。

 そんなところへ、偶然なのか、米フロリダから「イチローが所属するマーリンズが球団売却」するというニュースが飛び込んできた。米経済紙『フォーブス』によれば、すでに基本合意に達しており、売却額は16億ドル(約1813億円)。購入先は、トランプ大統領の上級顧問を務めるジャレッド・クシュナー氏を中心とする投資家グループという。
 「マーリンズの売却話が出たのは、くしくも安倍首相が渡米していた時期。現地では『日本と孫氏へ大統領からのプレゼント』という噂も囁かれている」(前出・ジャーナリスト)

 だが、孫氏の本意は、台湾でのプロ野球人気を橋頭堡に「中国でのソフトバンク人気を高め、事業を優位に進める」ことにあり、その思惑は三木谷氏も同じはずだ。「親トランプ」と「反トランプ」のせめぎ合いは、今後も激しさを増すばかりだ。

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