この日、ベスト8を懸け東北・北海道地区優勝の山本宣明と対戦した坪井。1Rから左フック、コンビネーションと積極的に仕掛けたが、相手も負けじと右ストレート、左フックなどで反撃。一進一退の攻防が続いた。
2Rに入ってからも積極的に前に出続けた坪井は、パンチの連打でスタンディングダウンを奪う。最後は1分4秒、左右のフックで猛ラッシュを仕掛け、レフェリーが試合を止めた。トーナメント本戦全8試合の中で唯一KO勝利を収めた。
豪快な勝利を飾り、が然注目度が増した坪井。ここまでの道程は決して平坦ではなかった。
昨年10月、歩けなくなるほどの原因不明の腹痛に襲われた。病院に行くと、胃の血管が破裂していることが判明。さらに、肺に良性の腫瘍も見つかり手術した。今年1月にも肺を再手術。病気と闘いながら本選出場を目指していた。
体に負担をかけすぎないよう練習時間は週3日、1日1時間に限られている。ジムの会長でトレーナーでもある中島慶太さんは「悲運のファイターですよ」と言いながらも「今は20%くらいですかね。でも、10のアドバイスをすれば自分なりの(技術を)編み出している」とその才能を高く評価している。今後は10月1日に日本武道館で行われる準々決勝に向け、万全を期すべく3度目となる肺の腫瘍を除去する手術を行う予定。
それでも本人は「関東一高のチアリーダーの子が気になりますね。声かけたいですね」と今どきの高校生らしい一面をのぞかせるなど実に明るい。この先どんな輝きを見せるのか、先々が楽しみだ。