「前回の地震は、単純計算すると1600年代の半ばということになりますが、記録は残っていない。しかし、津波の記録が残るようになったのは江戸時代以降。つまり、巨大地震が起こり日本海沿岸に大津波が襲来する時期が切迫していることは確かなのです」(サイエンスライター)
これまで日本海側には巨大地震は発生しないとされてきた。なぜなら、太平洋側と違いプレート境界がないからである。しかし、1993年には奥尻沖で巨大地震が発生し、大津波で多数の住民が亡くなっている。
琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏が言う。
「大西洋を引き裂いてきた大西洋中央海嶺が、北極、シベリアを経て樺太の西側を通り、日本海に入っている。そして、その海嶺は新潟沖を経て富山湾に入り、琵琶湖、瀬戸内海を通って沖縄、台湾に至っているというのが私の見解です。私が『日本列島構造線』と呼んでいるこの海嶺は、地殻を押し上げるのではなく、激しく引き裂いており、地震が発生しても不思議ではない。奥尻沖の巨大地震も過去9000年で26回発生した巨大地震も、その構造線上で起きていると見ています」
ちなみに、丹後一宮・籠神社の奥宮とされる真名井神社の境内には「波せき地蔵」があり、701年には海抜40メートルのこの場所まで津波が襲ったと伝わっている。
「柏崎原発や若狭湾沿岸に集中する原発は、いつ発生しても不思議ではない巨大地震の危険にさらされているわけです」(前出・サイエンスライター)
怖いのは南海トラフ地震だけではない。