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新重賞今昔物語 2000年新潟3歳S 「スカーレット一族」の礎を築いたダイワルージュ

 数あるファミリーラインの中でも、最も活力があり一大勢力にのし上がった感のある「スカーレット一族」。アメリカから輸入されたスカーレットインクが産んだスカーレットブーケ(父ノーザンテースト)は、自身も重賞4勝と大活躍。全姉のスカーレットリボンも桜花賞TRを勝っている。

 そしてその子孫が枝葉を広げており、ブーケの直仔では、GI4勝のダイワメジャーに同じくGI4勝のダイワスカーレット。おいにダートGI7勝のヴァーミリアンとサカラートの兄弟がいる。さらに桜花賞2着のブルーリッジリバーなど数え上げたらキリがないほどだ。
 いまやすっかり名繁殖牝馬となったスカーレットブーケだが、繁殖入り当初から順調だったわけではない。トニービンやサンデーサイレンスといった超一流種牡馬を配合されたにもかかわらず、活躍馬は出現せず。今では信じられない話だが、そのころには父サンデーサイレンスと母の父ノーザンテーストの組み合わせは走らないという迷信の象徴とまで揶揄されたほどだった。

 そんな状況を打破し、現在のファミリー隆盛の礎を築いたのが2000年の新潟3歳(現2歳)Sを勝ったダイワルージュだ。ブーケの5番仔として生まれ、ダイワメジャーを育てた美浦の上原厩舎に入厩。00年7月、福島で行われた新馬戦でいきなり9馬身差の逃げ切りという派手な勝ちっぷりを見せた。
 新潟競馬場改修のため中山の芝1200メートルで行われたその年は7頭立てと寂しい顔ぶれ。それも1番人気のリワードアンセル、2番人気のルージュという有力馬の前評判が高かったから。レースはこの2頭が2、3番手でがっちりけん制し合ったが、直線はルージュが楽に抜け出した。
 これで一躍、東の桜花賞候補に名乗りを挙げたが、西にはさらにすごい怪物テイエムオーシャンがいた。2着の阪神3歳牝馬S(現ジュベナイルF)も3着に終わった桜花賞も、いずれもオーシャンの後塵を浴びる結果となった。
 結局、GIとは縁がなく重賞はこの3歳Sだけだったが、繁殖入りして1番仔のダイワバーガンディが2歳戦で活躍。幸先いいスタートを切った。今後は自身を超える、さらに一族を背負って立つような馬の出現が期待されている。

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