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今や日本の“国民病”の一つ 急増する「味覚障害」と脳の異常との関係(2)

 日本口腔・咽頭科学会の調べによると、こうした味覚障害を訴える患者は、2000年代は'90年代より1.7倍に増えている。
 それも若い世代とともに50〜70代の女性にも多い傾向があるというのが特徴的とされる。

 東京医療センター・耳鼻咽喉科の担当医は、前述した主な原因である亜鉛について、こう話す。
 「亜鉛は『味蕾』の再生に必要な要素であって、亜鉛は他の栄養素と同じく、食べ物の中から体が要求する分だけ腸で吸収する。バランスの取れた食生活さえしていれば、亜鉛不足は起こりません」

 酒好きの人も要注意。アルコールの飲み過ぎもやはり亜鉛不足を起こす。アルコールを分解しようとして、体内の亜鉛を多量に消費するからである。
 これを防ぐには、亜鉛を多く含む今が旬の牡蠣(かき)などの魚介類またはチーズなどの乳製製品を多く食べながら飲むことだ。
 そして、ストレスも血中の亜鉛の濃度が低くなる原因のため、食生活の改善のほか、仕事中の休憩の取り方や、休日の過ごし方を工夫して、リラックスすることを心がける必要があるという。

 東京・世田谷の耳鼻咽喉科クリニック・加藤重俊院長は「味覚障害が疑われるときは、“しばらく様子を見ましょう”などと悠長なことを言っていてはいけません」とし、こう続けた。
 「味覚障害との関係で言うと、脳の異常で中枢神経系が正常に働かなくなることもある怖い病気です。最も考えられるのが、脳腫瘍や脳梗塞で、場合によっては急性顔面神経麻痺の原因にもなります。病態が深刻ですから、味覚障害の患者さんを診察する際、真っ先に調べるのは脳腫瘍や脳梗塞です。どうか異常を感じたら、出来るだけ早く神経内科か耳鼻咽喉科の受診を受けて欲しい」

 また、今注目されているウイルス性による顔面神経麻痺についても注意が必要だ。
 命に関わることはないが、麻痺が現れて2、3日以内に抗ウイルスの増殖を抑えたり、顔面神経の損傷を最小限にしないと、麻痺が慢性化し回復が困難になる、と加藤院長は指摘する。
 いずれにしても、危ない味覚障害かどうか、一般の人が判断するのは難しい。やはり医師の診断が必要なことは言うまでもない。

 深まりゆく秋、味覚の秋を存分に楽しむ時に味がわからないではもったいない。健康には十分ご注意を!

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